ラベル IFFJ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル IFFJ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2016年10月6日木曜日

【IFFJ2016特集】映画『ファン』評text西田 志緒

©Yash Raj Films

「駆逐か、和解かーー葛藤の行方」


『ファン』の一番の見所は、なんといっても「キング・オブ・ボリウッド」、主演のシャー・ルク・カーンである。
しかも、1人2役。シャールクが、自身の分身のような大スターと、熱狂的なファンという対照的な役柄を演じる。色んな表情のシャールクが堪能できてしまうのだ。

これはおいしい。おいしすぎる!! その設定だけで、充分に観る価値がある。
緩急をつけながら、物語が進むにつれてどんどんスリリングになって行くストーリーも面白い。ラストに向かう疾走感にグイグイ引き込まれる作品だ。

シャールクが演じるのは、大スターのアーリヤン。そしてもう1人、子どもの頃からアーリヤンに憧れて、人生のすべてを大スターに捧げてきた、ゴウラヴだ。
アーリヤンの色気がヤバイ。そして、ゴウラヴの色気ゼロもスゴイ。特殊メイクをしているといっても、本当に同じ人かと疑うレベルの振れ幅がある。
シャールクの魅力は、オーラ&色気ゼロのお調子者も、オーラ&色気バリバリの色男も演じられるところだ。真逆に振り切れているシャールクをこの1本で楽しめる。非常にお得感がある。

ゴウラヴのひたむきな熱狂ファンぶりがチャーミングだ。
地元のコンテストにアーリヤンのものまねで出場し、見事優勝。その賞金で、映画の都ムンバイまで大スターに会いに行く。
アーリヤンがかつてそうしたように、列車にキセルで乗り込み、大スターが初めてムンバイに来たときに泊まったのと同じホテルの、同じ部屋に泊まる。
まさに聖地巡礼。神に近づくかのような喜びと高揚感に、わかるよゴウラヴ! と微笑ましい気分にさせられる。

ゴウラヴの願いはただ1つ。
アーリヤンに会って、コンテストで優勝したトロフィーを捧げたい。そのたった5分が、彼の人生の望みなのだ。

その一途な思いが、やがて狂気のストーカーへと変貌していく。観ている側の世界まで ぐにゃり と歪むような気持ち悪さを覚える。絶妙だ。
アーリヤンを「シニア」、自らを「ジュニア」と呼ぶほどスターと瓜二つのゴウラヴは、アーリヤンを騙って悪事を働き、スターの信用を汚していく。

スマホやSNSの使い方も面白い。
個々人がメディアになれる時代、特定の場所で起きた事件がただちに拡散されて、広がり出したら止まらない。その情報が正確か捏造かなんて、誰も気にしない。
いとも簡単に、世界は歪み、アーリヤンの名声は失墜して行くのだ。

今まではゴウラヴがファンとしてアーリヤンを追いかけていたが、立場が逆転し、今度はアーリヤンが、ゴウラヴを追いかけることになる。

比喩ではなく、実際に走って追いかけるのだ。タキシードで走るシャールク! 素晴らしい。
1人孤独に追いかけるんじゃなくて、警察にしっかり通報してつかまえてもらいなよーというツッコミは、ヤボである。アーリヤンとゴウラヴが直接対決するところを、みんな観たいのだから!

ゴウラヴは、アーリヤンなしでは生きられない。宿主を離れては死んでしまう寄生虫のように。
しかし、仮にゴウラヴをファンの代表とすれば、ではあるが、アーリヤンもまた、ゴウラヴがいなければ生きられないのだ。

大スターと、一般のファン。輝く光と、陰鬱な闇。本物と、模倣。潔白と、罪悪。
本来は対になって調和がとれるはずの2つの要素が、均衡をくずし反目し合う。

目の前の画面でケンカをしている2人、逃げる側も追う側も、同じ顔をしている。だんだんと、1人の人間の内面の葛藤としても見えてくる。

相手を駆逐するのか、されるのか。従えるのか、ひざまずくのか。それとも、和解して握手を交わすのか。関わり合わずに交わらない人生を生きる、という道もあるかもしれない。

さて、この激しい葛藤の行方は、一体どうなるのだろうか。ぜひ、目撃してもらいたい。

(text:西田志緒)



『ファン』


原題:Fan
2016/ インド/ 138分

作品解説

最高のファンが最悪の敵に!「ボリウッド・キング」シャールク・カーンが、自身の投影のようなスーパースターと、特殊メイクでその狂信的な「ファン」の二役を演じるスリラー。二人のどちらに感情移入するかで、作品の見方が大きく変わる。
デリーの下町に暮らす青年ゴウラヴは、映画界のスーパースター、アーリヤン・カンナーの熱狂的ファン。ある出来事をきっかけに、ゴウラヴはアーリヤンと念願の対面を果たすが、アーリヤンに「お前は俺のファンなんかじゃない」と拒絶される。その日からゴウラヴはアーリヤンを狙うストーカーへと変貌していく。

キャスト

シャールク・カーン
ワルーシャー・デスーザ
シュリヤー・ピルガオーンカル
サヤーニー・グプター

スタッフ

監督:マニーシュ・シャルマー

©Indian Film Festival Japan 2016



インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン(IFFJ2016)


日本未公開の最新インド映画を上映。インドと日本、両国の人々の交流と友好を深めることを目的とした映画祭。東京会場は、2016年10月7日(金)~10月21日(金)まで、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。大阪会場は、2016年10月8日(土)~10月21日(金)まで、シネ・リーブル梅田にて開催。

開催期日/場所


東京:10月7日(金)~10月21日(金)/ ヒューマントラストシネマ渋谷
大阪:10月8日(土)~10月21日(金)/シネ・リーブル梅田

公式ホームページ
http://www.indianfilmfestivaljapan.com/index.html

タイムテーブル
http://www.indianfilmfestivaljapan.com/schedule.html

©Indian Film Festival Japan 2016


***********************************

【執筆者プロフィール】

西田志緒:Shio Nishida

東京都在住。2015年1月~4月にかけて、第二期「シネマキャンプ」映画批評・ライター講座を受講。『ことばの映画館』にて執筆。

***********************************

2016年10月4日火曜日

【IFFJ2016特集】映画『ファン』評text今泉 健



©Yash Raj Films


「我儘VS傲慢」


 「俺の人生だ、5秒すら君にやる義務はない」

 この言葉を吐き捨てたのは大スター、アールヤン・カンナー、相手の「君」は熱烈すぎるファン、ゴウラヴ・チャンドナー。物語前半のこの台詞を境に両者の生活、人生は一変する。世に言うバディムービーは大抵、対照的な二人を揃えるがこの二人はどうか。そもそも実際の大スター、舞踊が本当に見事なシャールク・カーンの一人二役で、外見や内面の相違点と共通点を見事に演じている。相違点は、孤高の大スターとその大スター中毒のファンであること。しかも症状は深刻だ。共通点は自分の意思は絶対に曲げない頑固さと、攻撃に転じると容赦ないことだろう。対照的かつ似通った二人、大スターと熱烈すぎる「狂気」のファンの、まさに「逆バディムービー」だ。

 狂気のファン、ゴウラヴは我儘である。「たった5分会って写真を撮れれば幸せ」という欲求を満たすためなら、人として許されない一線を超える。情報収集能力は諜報機関並ではないだろうか。結果、家族の様になりたいと思っていた大スターに嫌がらせをして執拗に追い回す。一方、大スター、アールヤンは「ファン無しではただの男です」という言葉が上っすべりに思えるくらい傲慢である。新進気鋭の後輩の役者を憤慨させるし、釈明会見でさえ上から目線、筋は通しているし間違ってはいないが、大スターはそれでは足らないということだろう。

  こうなると、どっちもどっちのトンデモ話のようだが、それは違う。この事態に至る、各々の事の次第と経過が、丁寧に描かれているから、必ずどちらかに肩入れしたくなる。後半、ゴウラヴがアールヤンを追い詰めていく姿はまさにサスペンス、そしてアールヤンもやられてばかりではいない、情報や資料を収集される立場の大スターは、受け身にならざるを得ず不利だ。しかし、攻勢に転ずれば立場は逆となり、「自分」を敵に回していることがお互いにとって諸刃の剣となる。アクションも見事で、一人二役の追っかけっこは、逃げるのも追うのも闘う迫力も香港映画に負けず劣らずだ。

  ゴウラヴの場合は、愛情というか執着であるが、こういった感情が極まると相手が異性でも同性でもスターでも同じような境地に達するのかもしれない。かつて、「ナイフならあなたを傷つけながら折れてしまいたい」というフレーズの歌詞があったが、まさにそれである。男性だけかもしれないが失恋は忘れ難いものだ。人の心に自分を深く意識づけるには、相手の心を傷つけるのが手っ取り早い方法と言わんばかりである。

 我儘か傲慢か、観客は後半必ずどちらかに肩入れしている自分に気づくだろう。友達、家族、パートナーいずれにせよ誰かと見るのをお薦めする。それはきっと、他の人の感想を聞きたくなるからである。

(text:今泉健)

 


『ファン』

原題:Fan
2016/ インド/ 138分

作品解説 

最高のファンが最悪の敵に!「ボリウッド・キング」シャールク・カーンが、自身の投影のようなスーパースターと、特殊メイクでその狂信的な「ファン」の二役を演じるスリラー。二人のどちらに感情移入するかで、作品の見方が大きく変わる。
デリーの下町に暮らす青年ゴウラヴは、映画界のスーパースター、アーリヤン・カンナーの熱狂的ファン。ある出来事をきっかけに、ゴウラヴはアーリヤンと念願の対面を果たすが、アーリヤンに「お前は俺のファンなんかじゃない」と拒絶される。その日からゴウラヴはアーリヤンを狙うストーカーへと変貌していく。

キャスト 

シャールク・カーン
ワルーシャー・デスーザ
シュリヤー・ピルガオーンカル
サヤーニー・グプター


スタッフ

監督:マニーシュ・シャルマー

©Indian Film Festival Japan 2016

日本未公開の最新インド映画を上映。インドと日本、両国の人々の交流と友好を深めることを目的とした映画祭。東京会場は、2016年10月7日(金)~10月21日(金)まで、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。大阪会場は、2016年10月8日(土)~10月21日(金)まで、シネ・リーブル梅田にて開催。


開催期日/場所

東京:10月7日(金)~10月21日(金)/ ヒューマントラストシネマ渋谷
大阪:10月8日(土)~10月21日(金)/シネ・リーブル梅田


公式ホームページ

http://www.indianfilmfestivaljapan.com/index.html

タイムテーブル

©Indian Film Festival Japan 2016

********************************** 

【執筆者プロフィール】
今泉健:Imaizumi Takeshi

1966年生名古屋出身 東京在住。会社員、業界での就業経験なし。映画好きが高じてNCW、上映者養成講座、シネマ・キャンプ、UPLINK「未来の映画館をつくるワークショップ」等受講。現在はUPLINK配給サポートワークショップを受講中。映画館を作りたいという野望あり。

**********************************
















【IFFJ2016特集】映画『キ&カ~彼女と彼~』評text大久保 渉

©Eros International

「手をつなごう」


自分にないものを相手が持っているからこそ惹かれるのか。それとも自分と似ているところがあるからこそ一緒にいて落ち着けるのか。

お互いの考えを尊重しあえるからこそ対等な関係が築けるのか。それとも悪いところを指摘しあえるからこそ必要な存在となりえるのか。

ありのままの自分を愛してくれる人と一緒になるのが幸せなのか。相手のためならいくらでも自分を変えられる程の強い想いがある方がより愛していると言えるのか。

ただ、愛する人と一緒に笑い合えるその瞬間のやすらぎは、理屈抜きに溢れ出る感情なのだから、目と目が合って幸せを感じるのならば、迷うことなく手と手をとりあえばいいのではないだろうか。

映画『キ&カ~彼女と彼~』は、「夢はCEO」と息巻くキャリア志向の女性・キアと、「主夫になりたい」と家庭を尊ぶ資産家の息子・カビールの、考え方は違えども、相性も目的も合致した二人の恋と結婚、心の成長を描きだす。

「男は仕事。女は家庭」。脚本にはそうした社会の考え方に対する「モノ言い」もあるけれど、しかし本作の要となるのは惹かれあう恋人に必要なものは何かということ。

飛行機の中で偶然出会い、初めて話したその日の夜に、バーでお互いの夢に茶々を入れ合うキアとカビールの顔が、交互にパパッと切り替わりながら映しだされるシーンが印象に残る。

初めは同じ場所にいてもフレームで切り離されていた二人の姿が、日を追うごとにだんだんと、寄り添うようにひとつの画面に映り込む。

近づく二人の心と身体。そして、堰を切ったように流れだす恋のメロディー。

「心地いいと思うなら、目をそらさなくていい」

力の限り、腹の底から、伝えたい言葉を口にしながら相手の瞳を見つめつつ、声を重ねるキアとカビール。

「君とわたしのおかしな恋愛」

手をつなぎあう二人の熱い体温が私の心まであたたかくしてくれる。恋人同士が一緒にいたいと思う理由は、そのぬくもりを求め合うことだけで十分なのではないか。

あまりにも浅はかだと言われるかもしれないが、家督を重んじる国に生まれたはずのキアとカビールの衝動的な付き合い方は、見る者にこの上もない純粋な愛のかたちを示してくれる。

(text:大久保渉)




『キ&カ ~彼女と彼~』
原題:Ki & Ka
2016/ インド/ 126分

作品解説
キャリア志向の女性と主夫志望の男性。その結婚が思わぬ展開に! 夫婦の役割を入れ替えたカップルの話だが、大胆でユニークな作品に定評のあるバールキー監督による驚きのひねりが物語を盛り上げる。演技派女優カリーナーと若手注目俳優アルジュンの、ふたりの「カプール」の好演も見逃せない。
飛行機で偶然出会ったキャリア志向の女性キアと「主夫」志望の男性カビール。二人は逆転夫婦として結婚。順調だった結婚生活は、カビールが「カリスマ主夫」として人気になったことから歯車が狂い始める。

キャスト
キア:カリーナー・カプール
カビール:アルジュン・カプール

スタッフ
監督:R.バールキー 

©Indian Film Festival Japan 2016

インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2016(IFFJ2016)
日本未公開の最新インド映画を上映。インドと日本、両国の人々の交流と友好を深めることを目的とした映画祭。東京会場は、2016年10月7日(金)~10月21日(金)まで、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。大阪会場は、2016年10月8日(土)~10月21日(金)まで、シネ・リーブル梅田にて開催。

開催期日/場所
東京:10月7日(金)~10月21日(金)/ ヒューマントラストシネマ渋谷
大阪:10月8日(土)~10月21日(金)/シネ・リーブル梅田

公式ホームページ
http://www.indianfilmfestivaljapan.com/index.html

タイムテーブル
http://www.indianfilmfestivaljapan.com/schedule.html

©Indian Film Festival Japan 2016

***********************************

【執筆者プロフィール】

大久保渉 Wataru Okubo 
ライター・編集者・映画宣伝。フリーで色々。執筆・編集「映画芸術」「ことばの映画館」「neoneo」「FILMAGA」ほか。東京ろう映画祭スタッフほか。邦画とインド映画を応援中。でも米も仏も何でも好き。BLANKEY JET CITYの『水色』が好き。桃と味噌汁が好き。
Twitterアカウント:@OkuboWataru

***********************************

【IFFJ2016特集】映画『キ&カ~彼女と彼~』評text佐藤 聖子

©Eros International

「♡3つのケーキ♡」


「ロマンスはゆっくり始まるものさ」
レタスを口に押し込みながら、思わせぶりに彼が言う。
しかし、言葉と裏腹に、彼と彼女は急速に近づいてゆく。

CEOを夢見て働く女性キアと、無職の年下男性カビール。
この映画は、そんな二人の恋愛娯楽作品として充分に楽しめる。キアが夢に向かって進む姿は爽快だし、有能な主夫として立ち回るカビールは愉快で微笑ましい。すれ違いやケンカも、ラブストーリーには欠かせないスパイスだ。

「キッチンは女人禁制」のシーンや、奥様たちとカビールの井戸端会議、機関車が走り回る部屋の内装など、笑いと遊び心にあふれている。
本作ポスター『Ki & Ka』の文字は、キアとカビールのイニシャルを仲良く並べてあるようで可愛らしい。

典型的ともいえる娯楽映画でありながら、この作品は社会的な顔を併せ持つ。
『キ&カ~彼女と彼~』(邦題)は、「彼女」と「彼」の順番が示すように、男女のイニシアティブ、ジェンダーや女性のキャリアデザインなど、恋愛や結婚において避けては通れない側面も描いている。
冒頭のシーン、友人の結婚披露宴でキアは言い放つ。
「親友の葬式なのよ!」

高学歴のカビールが働くことに意味を感じず「専業主婦だった母のようになりたい」と願う背景には、著名な実業家である父親と亡くなった母親の関係がある。
社会での肩書や成功を否定するカビールのセリフは辛辣だ。専業主婦の存在意義にも踏み込んでいる。
一方、父を事故で亡くし母子家庭で育ったキアには、彼女なりの想いがある。

働く女性が増えても彼女たちを支える存在が少ない社会で、働かない男性が認められにくい社会で、キアとカビールは愛する相手を通して様々な価値観に触れ、思いがけない自分の感情に出くわし、世界を広げてゆく。

影となり日向となり二人を支えるのが、同居しているキアの母親だ。キアとカビールが、時に諍いながらも「理想の自分」と「相手を応援し合う対等な関係」を実現させてゆく上で、この魅力的な女性の役割は大きい。
日本では「親との同居が夫婦の問題をややこしくする話」をよく耳にするが、キアの母親は二人を優しくしなやかに支えている。

恋愛映画でもあり、社会的な映画でもあるこの作品。個人的に、もう1つの要素を感じた。
聞きかじった程度のインド思想のイメージだが、主要人物に「トリ・グナ(3つの性質)」が重なって見えた。

野心を抱き出世の妨げになるものを排除して生きるキアはラジャス(活動)的、信念を持ちつつセグウェイでぶらぶらしているカビールはタマス(夢想)的、温和で聡明なキアの母親はサットヴァ(調和)的。
この3性質の均衡が崩れる時、創造が始まるという。
彼女たちの物語も、そこから始まっているように思う。

「3」という数字はこの映画の1つの鍵なのかも知れない。
キアとカビールとお母さん……それぞれの幸せ、キアとカビール二人の幸せ、家族三人にとっての幸せ。その象徴とも思える3つのケーキ。
味わってみて欲しい。
リキュールのきいた、甘くてほんのりビターな大人のマサラムービーだ。

(text:佐藤聖子)



『キ&カ ~彼女と彼~』
原題:Ki & Ka
2016/ インド/ 126分

作品解説
キャリア志向の女性と主夫志望の男性。その結婚が思わぬ展開に! 夫婦の役割を入れ替えたカップルの話だが、大胆でユニークな作品に定評のあるバールキー監督による驚きのひねりが物語を盛り上げる。演技派女優カリーナーと若手注目俳優アルジュンの、ふたりの「カプール」の好演も見逃せない。
飛行機で偶然出会ったキャリア志向の女性キアと「主夫」志望の男性カビール。二人は逆転夫婦として結婚。順調だった結婚生活は、カビールが「カリスマ主夫」として人気になったことから歯車が狂い始める。

キャスト
キア:カリーナー・カプール
カビール:アルジュン・カプール

スタッフ
監督:R.バールキー 

©Indian Film Festival Japan 2016

インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2016(IFFJ2016)
日本未公開の最新インド映画を上映。インドと日本、両国の人々の交流と友好を深めることを目的とした映画祭。東京会場は、2016年10月7日(金)~10月21日(金)まで、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。大阪会場は、2016年10月8日(土)~10月21日(金)まで、シネ・リーブル梅田にて開催。

開催期日/場所
東京:10月7日(金)~10月21日(金)/ ヒューマントラストシネマ渋谷
大阪:10月8日(土)~10月21日(金)/シネ・リーブル梅田

公式ホームページ
http://www.indianfilmfestivaljapan.com/index.html

タイムテーブル
http://www.indianfilmfestivaljapan.com/schedule.html

©Indian Film Festival Japan 2016

***********************************

【執筆者プロフィール】

佐藤聖子 Seiko Sato 

福祉のお仕事を転々として、今は児童福祉施設の非常勤。時給が湿布代で飛んでゆくことに「人生」を感じている。
映画のような夢を見た朝の微睡みが好き。

***********************************

2016年9月29日木曜日

10/7(金)より開催!インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2016 text大久保 渉

©Indian Film Festival Japan 2016

ドクドク。ドクリ。胸が高鳴る。身体が反応してしまう。

眩い光を見ると目が細まる、熱にあたると頬が火照るのと同じように。しばし自分という存在を忘れてしまうほど、元は真っ白なスクリーンに映し出された映像に飲みこまれてしまう。

目を見張るほど鍛え抜かれた肉体を、あらん限りの力で躍動させる俳優たち。目が離せなくなるほど可憐な肢体を、たおやかに揺り動かす女優たち。

衣装、舞台美術、ロケーション、特殊効果、そのどれもが日常を飛び越えて、私の心を魅了する。

アクション、コメディ、サスペンス、ラブロマンス……。

絢爛豪華、百花繚乱、落花流水、不撓不屈……。

今年も開催。インド映画の祭典【インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2016】。第5回を迎える今回は、10月7日(金)から10月21日(金)まで、ヒューマントラストシネマ渋谷にて13本の新作インド映画が1日3~4本、2週間限定で公開される(大阪会場/シネ・リーブル:10月8日(土)~10月21日(木)まで)。

とりわけ今年は、ヒンディー映画の2016年上半期興行収入No.1を記録した『エアリフト~緊急空輸~』(16)が目玉作品として大きな注目を集めている。



90年代に起こったクウェートへのイラク軍侵攻。その傍らで、一人のインド人実業家が在住インド人17万5千人の大空輸移送に尽力した実話を基に描く、手に汗握る緊張と興奮と、その勇気に心が奮い立つ感動作。

そしてまた、同じくヒンディー映画の上半期興行収入TOP10に入る話題の4作品も上映される。


『ファン』(16)―「ボリウッド・キング」シャールク・カーンが、自身の投影のようなスーパースターとその狂信的なファンの一人二役を演じたアクション・スリラー。街中を縦横無尽に駆け回る男たちの激しい心と身体が大胆な脚本と演出によって鮮やかに表現される。



『カプール家の家族写真』(16)―インド映画の一大テーマ「家族愛」を、期待の若手監督シャクン・バトラが『スチューデント・オブ・ザ・イヤー』(12)のふたりのスター俳優と豪華出演者陣と共にみずみずしく描く。



その他、実際に起こった航空機ハイジャック事件の犯人と対峙した客室乗務員の勇気を綴ったクライムサスペンス『ニールジャー』(16)、父親とその3人娘とその彼氏たちのせめぎ合いを描いたドタバタコメディ『ハウスフル 3』等、今を彩るインド映画が多数上映される。



そして最後にもうひとつ、巨匠サタジット・レイの息子サンディープ・レイが監督したベンガル映画のラブロマンス『私が恋した泥棒』も、ぜひともお勧めしたい作品である。インド映画史に新たな歴史を刻む一作として、インド映画業界以外からも多大な期待が寄せられている。

今年もヒューマントラストシネマ渋谷の入り口に通じる長いエスカレーターを上がり下がりする間に、どれだけ胸が高鳴ってしまうことだろうか。日常を飛び越えた先にある高揚感が堪らなく心地いい。

みなさまもぜひ、この心が踊る映画体験をご堪能くださいませ。

(text:大久保渉)

インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2016(IFFJ2016)
日本未公開の最新インド映画を上映。インドと日本、両国の人々の交流と友好を深めることを目的とした映画祭。東京会場は、2016年10月7日(金)~10月21日(金)まで、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。大阪会場は、2016年10月8日(土)~10月21日(金)まで、シネ・リーブル梅田にて開催。

開催期日/場所
東京:10月7日(金)~10月21日(金)/ ヒューマントラストシネマ渋谷
大阪:10月8日(土)~10月21日(金)/シネ・リーブル梅田

公式ホームページ
http://www.indianfilmfestivaljapan.com/index.html

タイムテーブル
http://www.indianfilmfestivaljapan.com/schedule.html

©Indian Film Festival Japan 2016

***********************************

【執筆者プロフィール】

大久保渉 Wataru Okubo

1984年、座間市生。映画活動中。ライターとして『ことばの映画館』、『FILMAGA』、『トランシネマWEB』、少しだけ『映画芸術』、その他映画系媒体にて執筆中。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭事務局にアシスタント勤務(2016年4~7月)。インディペンデント映画の宣伝チームに参加。その他、KAWASAKIしんゆり映画祭、インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン、各種映画祭にて活動中。
Twitterアカウント:@OkuboWataru

***********************************

2015年10月14日水曜日

インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2015 開催中!!text大久保 渉


© http://www.indianfilmfestivaljapan.com


心がぐっと鷲づかみにされてしまう。

想い人へ向けた深い愛。家族へ向けた尊い愛。インド映画特有の、ナイン・エモーション(恋、笑い、悲しみ、怒り、勇猛、恐れ、嫌悪、驚き、静寂)が人間の心をあらわにし、見ているものの身体を熱くたぎらせていく……。

そんな魅力溢れるインド映画の祭典【インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2015】が、10月9日(金)から10月23日(金)まで、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。今年で第4回目を迎える同映画祭では、劇場未公開の最新インド映画を2週間限定で楽しむことができるのである(大阪会場/シネ・ヌーヴォ:10月10日~10月22日まで)。

今年のラインナップの特徴としては、「歌わず、踊らず」の作品が13本中7本も入っているということが挙げられる。昨今話題となった『マダム・イン・ニューヨーク』、『女神は二度微笑む』にも見られるように、もはやインド映画の魅力は歌と踊りだけにはとどまらない。

『国道10号線』
片田舎で「名誉殺人」を目の当たりにした夫婦が村人たちから執拗に追いかけられていく様を描いた緊迫のサスペンススリラー『国道10号線』。女性犯罪捜査官を主人公に、インドの闇夜に蠢く人身売買組織とのタフな対決を鋭い映像で描き切ったハードボイルドスリラー『女戦士』。そしてインド映画界で注目を集めるディーピカー・パードゥコーン(『恋する輪廻-オーム・シャンティ・オーム―』他)主演による、「うんち」の話で喧嘩ばかりする父と娘の家族愛を可笑しくも爽やかに描いたロードムービー『ピクー』等々、インド映画の「最先端」を突っ走る作品の数々が同映画祭をバラエティー豊かに彩っている。

『ピクー』

そしてもちろん、隆起した肉体としなやかな肢体がぶつかり合う、豪華絢爛な「歌って踊って」の作品も健在である。



『銃弾の饗宴-ラームとリーラ-』

「ロミオとジュリエット」を原案に、美男美女による華麗なダンス、身体の芯から熱くなってしまう魅惑的な歌、そして細部までこだわった民族衣装と荘厳な舞台装置が観客を幻想的な世界へといざなってくれる『銃弾の饗宴―ラームとリーラ―』。そしてインドの街中を縦横無尽に、キレキレなアクションととぼけたギャグが冴えわたる、抱腹絶倒のアクション大作『バン・バン!』がひときわ注目を集めている。


『バン・バン!』

そしてもう一つ、インド映画史に新たな一ページを刻む名作として期待が寄せられているのが、『ヨイショ!君と走る日』。体重を89㎏まで増量した主演女優ブーミ・ペードネーカル演じるふくよかな新妻と、両親からの要請でしぶしぶ見合い結婚を果たしたその夫が、まごつきながらも次第に心を通わせあっていく様をユーモラスに描いたこの傑作が、果たして劇場公開に結びつくのかどうか、追って注目していきたいところである。



『ヨイショ!君と走る日』

その他、血みどろの復讐劇や、愛憎劇、アート系作品も多数上映。人間の格好良さも腹黒さも、賢さも愚かさも、すべて包み隠さず見せてくれるところがインド映画の良いところ。「映画」のことも「人間」のこともますます好きになっていってしまう、そんな映画体験をこの機会に是非ご堪能していただきたい。


インド映画、もっと劇場公開して欲しい度:★★★★★
(text:大久保 渉 )






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン(IFFJ2015)
日本未公開の最新インド映画を上映。インドと日本、両国の人々の交流と友好を深めることを目的とした映画祭。東京会場は、2015年10月9日(金)~10月23日(金)まで、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。大阪会場は、2015年10月10日(土)~10月22日(木)まで、シネ・ヌーヴォにて開催。


タイムテーブル

開催期日
東京:10月9日(金)〜10月23日(金)
大阪:10月10日(土)〜22日(木)

場所
東京:ヒューマントラストシネマ渋谷
大阪:シネ・ヌーヴォ

公式ホームページ