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2015年10月13日火曜日

映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』textくりた

「マックスとその亡霊たち」 


『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の主人公であるマックスは、「フュリオサに比べるとちょっと目立たない」というイマイチな評判をしばしば目にします。しかしこの作品は非常に多くの観客に観られ、そして様々な考察がされる中で取りざたされている興味深い一説に「マックス精神病んでる説」があります。それを裏付ける主な着目ポイントとして「他人と目を合わせられない」「単語しか話さない」「同じ言葉を繰り返す」等々いくつか不自然な点が挙げられています。

© 2014 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED


またその中でも最も分かりやすく、顕著な症状として幻覚・幻聴があります。主な幻覚として現れる少女はクレジットで“Glory the Child”となっているのですが、では彼女は一体何者なのか?何者なのかって、まぁご覧になった方はお分かりでしょうが、クライマックス前に「Come on Pa!(急いで!パパ!)」と呼びかけるので恐らくマックスの娘なのだろう、という事が分かります。

しかし彼女はそれより以前は、彼に向かって「マックス」と、呼びかけているのです。
観ている間その呼びかけの違いに違和感を感じていたので、これがどういうことを意味するかを考えていました。

先述にもある通り、マックスが精神を患った状態であるという考察は多いですし、きっとそれが正しい認識なのだろうと思います。その結果としてマックスは“Glory the Child”を始めとする過去に救えなかったであろう人物達の幻覚が見えているのですが、マックスはずっとその幻に責め立てられているのです。そして“Glory the Child”は出てくるたびに同じ台詞を繰り返しています。

「Where are you?(何処にいるの?)」「You promised to help us!(助けてくれるって約束したのに!)」と。

この2つの台詞はマックスにとってどんな意味があるのでしょうか?

© 2014 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

まず「Where are you?」ですが、これは物語の冒頭で「I am the one who runs from both the living and the dead.(生者からも死者からも逃げている)」とマックス自身が語っていたところを見ると、死者から「逃げている」という意識はすなわち、「死者が自分のことを探し回っている」、という妄想の表れだとも言えます。その妄想が「何処にいるの?」という幻聴として聞こえてきているのだろうと推察できます。

また、それらの症状はフュリオサ達と出会ってからは現れる回数が劇的に減っています(忙しくて幻覚を見てる暇すらないということもありますが!)。それは戦いを通してマックスが少しずつ癒され、精神が安定していっているであろう事を表しています。

それから後にフュリオサ達と別れ、荒野に1人で佇んでいるシーンでまたあの“Glory the Child”が現れ、そして再度「Where are you?」とマックスに囁きかけます。つまり、ここでフュリオサ達と共に歩むこと(戦うこと)から「逃げた」というマックスの自責の念が、やはり「Where are you?」という台詞に投影されているのだと考えられるのです。

また、その一方で「You promised to help us!」という台詞はさらに直接的に、マックスを責め立てる台詞ですがこれはまた別の重要な役割を果たす一文でもあります。

先ほどの別れのシーンにおいて繰り返されるその2つの台詞の他に、“Glory the Child”が泣きながら「Monny!」と呼びかける声が聞こえ、その直後に子供ではない女性の声で「You promised to help us!」という台詞が続きます。この2つの台詞の前後関係を考えると、「You promised to help us!」と言ったのは“Glory the Child”の母親、つまりはマックスの妻と考えることも出来るのです(妻かどうかはものすごい飛躍かも知れませんが)。

© 2014 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

おそらくですが、フュリオサ達と出会うそれ以前は幻覚に現れる少女が誰なのかマックス自身も分からなくなっていた、もしくは認識したくなかったのではないかと思うのです。それほどまでに心を病んでいたのではないかと。しかし、フュリオサ達と共に戦いながら癒され、立ち直りつつあったマックスはその時になって、ようやく“Glory the Child”が自分の娘だったという事を認識できた(思い出せた)のではないか?またその娘を、妻をも救うことが出来なかったことと向き合えたのではないかと思うのです。

だからこそ、先のシーンで“Glory the Child”の呼びかけが「マックス」から「パパ」へと変化したのではないでしょうか。

そこでようやくアイデンティティ(父親であり、夫であった自分)を取り戻した彼は、自らが今しなければならない事を改めて認識し、フュリオサ達のもとへ向かうシーンへと繋がっていくのです。かつて救えなかった人たちの面影を胸に、しかし二度と同じことは繰り返すまいと覚悟を決めたマックスは、その前夜にフュリオサに向かって「希望を持つな」と告げた時の彼とは明らかに違います。自分自身を取り戻した彼は、フュリオサに向かって「可能性にかけろ」と諭すのですから。

© 2014 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

「もしかしたら駄目なのかも知れない」、それでもマックスは(恐らく)また以前のように、自分以外の人間のために、虐げられた人々のために命をかけることを選択するのです。それは真の英雄的行為、究極の自己犠牲の精神であるわけなのですが、しかし彼はそれをただ「人のためだから」と行っているわけではない筈です。その行為自体が、他ならぬマックス自身のためでもあるから戦っているのです。過去に助けを求めてきた人たち、自分の大切な人たちを守れず、1人生き残ってしまった自分と向き合えずに崩壊してしまった心。それを取り戻すことは、再び他人のために命をかけることでしか為し得ないのです。そうやって生きていくこと自体がマックスたる所以、それが彼のアイデンティティの根幹にあるのです。

こんなにも尊い行いを何も言わずに、見返りすら求めずに最後までやり遂げる男を観てこれが泣かずにいられますか?
もう正直言って涙しかないです!
そうやってまた繰り返し観てしまうのが『マッドマックス』なのです。

(text:くりた)

関連レビュー:
映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 【鉄と血と、怒れる女神の物語】text:くりた






『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

2015/アメリカ/120分

『マッドマックス』(1979)のシリーズ第4作。石油も水も尽きかけた世界。主人公は愛する家族を奪われ、本能だけで生きながらえている元・警官のマックス(トム・ハーディ)。荒野をさまようマックスは、資源を独占し恐怖と暴力で民衆を支配する凶悪なイモータン・ジョーに捕えられる。そこへジョーの右腕の女戦士フュリオサ(シャーリーズ・セロン)、配下の全身白塗り男ニュークスらが現れ、マックスはジョーへの反乱を企てる彼らと協力し、奴隷として捕われていた美女たちを連れ、決死の逃走を開始する。追いつめられた彼らは、自由と生き残りを賭け、決死の反撃を開始する!

出演
マックス:トム・ハーディ
フュリオサ:シャーリーズ・セロン
ニュークス:ニコラス・ホルト
イモータン・ジョー:ヒュー・キース=バーン
トースト:ゾーイ・クラビッツ

スタッフ
監督:ジョージ・ミラー
脚本:ジョージ・ミラー、ブレンダン・マッカーシー、ニコ・ラザリウス
撮影:ジョン・シール
美術:コリン・ギブソン
衣装:ジェニー・ビーバン
編集:マーガレット・シクセル
音楽:ジャンキー・XL
制作:ダグ・ミッチェル、ジョージ・ミラー、P・J・ボーデン
製作総指揮:イアイン・スミス、グレアム・バーグ、ブルース・バーマン

公式ホームページ:http://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuryroad/

blu-ray&DVDレンタル/発売日:2015年10月21日(水)

2015年9月24日木曜日

PFFアワード2015 Hプログラム 〜映画『みんな蒸してやる』textくりた

「唯一無二のワンダーランド」


「みんな蒸してやる」。タイトルからして個性のきらめきが半端ない。

主人公はシュウマイ販売店でアルバイトをしている女の子で、彼女が惚れている男は他の女にフラれたばかりで傷心らしい。通常の映画であればここで「チャーンス!」となりそうなものであるが、そうは問屋がおろさない。
「俺はカカシになる」とだけ残し、彼は(近所の)田んぼへと旅立っていった。

それからというもの、主人公はシュウマイを売りつつ店舗から田んぼへと足繁く通い、また甲斐甲斐しくカカシとなった彼の世話を焼くのである。

これは適当なストーリーをでっち上げているわけでも、気が動転しているからでも、恐らく私の読解力が0だからでもない。

そういう話です。

それにしても不思議なもので、主人公の女の子がどうにも「おかずクラブ(女性芸人コンビ)」のオカリナちゃんに見えてくるのである。激似、という訳ではなく、そこはかとなくそう思えてくる(実際はオカリナちゃんより随分可愛いとは思う)。最後の方ではもう、カカシにストーカーをかけるオカリナちゃんがスクリーンを縦横無尽に駆けずり回っているようにも見えてきてしまうのだ。



それはオフビートと言っていいものか、アヴァンギャルドと評していいものか、はたまた実験的だと言い切っていいものなのか?
これは見るものを惑わせ、一切の言葉も合致する様子を見せない「みんな蒸してやる・ワンダーランド」なのだ。

このレビューを読んで下さった方は「一体何を言っているのか?」とお思いだろう。
しかしこれは観なければ分からない。観ないことには話が通じないのである。
そんな唯一無二の存在感を放つ『みんな蒸してやる』。このワンダーランドを是非とも体感して頂きたい。

ワンダーラン度 :★★★★☆
 (text:くりた


『みんな蒸してやる』

作品解説
「かかしになりたいおとこは夢中 おんなはおとこを今更さよならふりむかせたい わたしが結婚しても いつもの時間に きみがラジオきくなら、」

出演
大河原 恵、須藤瑞己、大渕礼奈、森川しゅう、鶴巻 紬、南久松真奈、星野慶太、松嵜翔平

スタッフ
監督・脚本・編集:大河原 恵
撮影:原 悠介
録音:広田智大
照明:吉永良芽生
制作:目黒律啓

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PFFアワード2015 受賞結果速報!


ぴあフィルムフェスティバル(PFF)
"映画の新しい才能の発見と育成"をテーマに、1977年にスタートした映画祭。いままでに数々の監督を排出している。現在では、公募した作品から入選作品を選出する映画コンペティション「PFFアワード」を中心に、特集上映や、トークショーなどのイベントも行われている。また、PFFアワードでグランプリ等の賞を受賞した監督はPFFスカラシップの権利を獲得でき、劇場用映画監督デビューへの道が開かれる。

公式ホームページ:http://pff.jp/jp/index.html

2015年8月14日金曜日

映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』textくりた

「史上最強オシャレムービー」


なんという意識高い系映画。

この作品を見終わった時の正直な感想だった。馬鹿にしているように聞こえるかも知れないがそんなつもりはない。そうじゃないんです。あまりにもオシャレ。オシャレすぎたのだ。

オシャレな男女がオシャレな服を着てオシャレな家に住みオシャレな会話をし、オシャレな曲にオシャレな歌詞を乗せてオシャレに歌うという、とんでもないオシャレミュージカルムービーだ。

非オシャレ人間からするともう、オシャレが過ぎてオシャレの海に溺れそうでたまらなかった。申し訳なかった。

すみません。

しかし本作はただただオシャレなだけではない。主人公のイヴは拒食症を患っており、精神病棟に入院中で影のある孤独な女の子。精神的にもダウナーになりがちでトリッキーな言動が目立つ。そんなガールとミーツするボーイであるジェームズは内気で心優しい音楽青年。心は優しいが頭が固いため音楽活動も行き詰まり中。そんなガール&ボーイのケミストリーがスパークし、最終的にはミュージックによっておのおのがそれぞれの道に導かれていくようなハナシです。

オシャレ。

さすがベル&セバスチャンをやっているだけのことはある。結局オシャレに行き着きそうになるところだったが、そう、ベル&セバスチャンのフロントマンであるスチュアート・マードックが監督している本作はキラキラしたポップミュージックで溢れているのだ。音楽好きにはぐっとくるものがある。70年代風のレトロでポップな色彩もまぶしい。ラジオやカセットテープやレコードプレイヤーといった小物使いも心にくい。そして、「ああ、音楽が好きな人が作った映画だなぁ」という音に対するひたむきさ。

キラキラしている。

この映画の前では誰もが「so shiny! so chrome! 」となってしまうわけです。

だがその一方で、舞台が70年代くらいなのだろうかと思って観ていると、主人公の女の子がおもむろにスマホを取り出したり、「今時テープで音楽渡すってある?」とか言われてしまったりと時代感が不明瞭。出来る限りこの世界に埋没しようと試みても、先の小物使いやセリフの端々の微妙なズレによってすぐ現実に引き戻されてしまうのだ。レトロにまとまったミュージカルなので、ある種のファンタジーとして見るには、些末なことが引っかかり今ひとつ乗り切れない。ファンシーな世界と現実世界の相互作用によって観客を揺さぶるにも少々中途半端で、どうしたかったのか理解しかねる部分が目立った。だったら現実味を一切なくして70年代風ミュージカルとして振り切った方が、より一層本作の世界に入り込めたように感じたのだ。

とまぁ、そんなことをダラダラと言いつつも、本作は10代・20代のso shinyな若者たちの心にはきっと美しく響くはずだと感じている。そうであるべきだと思ってしまうほどに、この作品は若さと純粋さにあふれた究極のオシャレムービーなのである。

so shiny度:★★★★☆
(text:くりた)




『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』


2014/イギリス/111分

作品解説

ベル&セバスチャンのフロントマンであるスチュアート・マードックが脚本・監督を務めた青春ミュージカルムービー。
主人公のイヴは拒食症を患い入院中。しかしひょんなことから知り合ったジェームズ、キャシーらと共に音楽活動を始める。音楽を通して青春を謳歌する3人であったが……。

出演

イヴ:エミリー・ブラウニング
ジェームズ:オリー・アレクサンデル
キャシー:ハンナ・マリー

スタッフ

監督・脚本:スチュアート・マードック
制作:バリー・メンデル

公式ホームページhttp://www.godhelpthegirl.club/index.php
劇場情報:新宿シネマカリテで絶賛公開中

2015年7月10日金曜日

映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』textくりた

「妄想活劇/エイジ・オブ・ホークアイ」


超大作の制作に際し、様々な大人の事情があることでしょう、それはわかります。
しかし、今回の作品は実に様々な超展開が巻き起こっていて理解と共感が難しい作品であったと言わざるを得ません。
誤解なきよう前もって明言しておきますと、本作は老若男女人種を問わず楽しめる、非常に愉快な娯楽作となっておりました。

ではそんな作品の一体何が理解できないか、共感が難しいかと言いますと、それはホークアイ(ジェレミー・レナー)に家族ができていたことですね、急に。それはもう予告を観た段階で「おやおや?」です!

しかしまた何故なのか? 理由が本当によくわかりません。

コミック版ではホークアイとブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)は恋に落ちるという設定で、しかも前作の『アベンジャーズ』ではそのニュアンスが僅かに引き継がれているようでした。そして『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』でもその雰囲気を匂わせていておいて、今回のこれですよ。本作では「色々あって隠してたんですよね」、的な説明がなされていましたが、それらのエピソードが全てなかったことになっているこの展開には度肝抜かされましたよ。

ホークアイさんどーなってるんですかこれは。
前作からこの間に一体何があったんですか!

これはもうホークアイとブラック・ウィドウの間で「実は俺、奥さんと子供がいるんだよね」というやり取りがあったようにしか思えません。そしてやけを起こしたブラック・ウィドウがその当てつけに、根暗で女性関係に奥手なハルク(マーク・ラファロ)を誘惑したようにしか見えません! そしてハルクもハルクで彼女がいたような気がします。『インクレディブル・ハルク』でのあの純愛はなんだったのか…ベティ(リヴ・タイラー)もマジ切れですよ!

そういえば『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の時もブラック・ウィドウはキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)に対してちょっと思わせぶりな態度だったことを思い出しました。きっともうその時点でホークアイに妻子がいたことを知ってしまったためにあんなことをしてしまったのですね。
今ようやく腑に落ちました!

そうなのです、アベンジャーズ内の唯一まともそうなキャプテン・アメリカは、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の時に少しいい感じになれたブラック・ウィドウが、今回知らぬ間にハルクと急接近しているのを目の当たりにして「お似合いの2人だよ…」などとハルクを応援する始末。
哀れでなりません。
このどうかしている集団(アベンジャーズ)をまとめているキャプテン・アメリカが一番苦労しているのにその扱いは可哀想すぎやしませんか!

と、その代わりと言っては何ですが、女好きのアイアンマン(ロバート・ダウニーJr.)とモテモテのソー(クリス・ヘムズワース)が自分たちの彼女自慢で対抗意識を燃やすという一途さを垣間見せたりして、こっちはこっちで一体何を見せられているのか、という気持ちになりますね。このリア充2人だけはシリーズ通して平和です。アベンジャーズ内で修羅場が巻き起こっているなど知る由もないのです。

ところで肝心の本編はと言いますと、そんなどうかしている集団の一員であるアイアンマンが何となく開発したAIの自我が芽生えて暴走してみたりして、何だか色々大変な事態が巻き起こるわけなんですが、アベンジャーズ内の恋愛事情が複雑すぎてもうそんなことはこの際どうでもいいのです! そしてそっちの事件は何だかんだで丸く収まったようなので大変良かったです!

そんなことよりもブラック・ウィドウがホークアイに騙されて捨てられたんじゃないかと気が気じゃありません。
あんな誠実そうなのに、ホークアイさんひどすぎる!
そんなブラック・ウィドウは当てつけにアベンジャーズ内で奥手そうな男を2人も手玉に取って、しまいにはハルクをあんな谷底(?)に突き落としたりしちゃうんですよ!

ヒーロー活劇の裏側では昼ドラレベルの恋愛模様が渦巻いてるのです!
お忘れかも知れませんがこれはヒーローのお話ですよ、みなさん!
もうウルトロンどころの騒ぎじゃありません!
これは修羅場です!
そんなカオスな状況なのに1人で家に帰っちゃうホークアイさんはやっぱりひどいです!
「愛を知る全人類に送る」とはよく言えたもんです!
とにかくジェレミー・レナーさんひどい! でもかっこいい!
今後はもうこれ以上スカーレット・ヨハンソンさんがやけを起こさないような展開にしてあげて欲しいと願ってやまない作品でした!
次回作の『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』も楽しみにしています!

修羅場度:★★★★☆
(text:くりた)



映画『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』

2015/アメリカ/141分

作品解説
マーベルコミック原作の人気作品からヒーロー達が集結したアクション大作『アベンジャーズ』(2012)の続編。前作に続きジョス・ウェドンが監督、脚本を手掛け、主要キャラクター演じる豪華キャストも続投している。

出演
トニー・スターク/アイアンマン:ロバート・ダウニーJr.
ソー:クリス・ヘムズワース
ブルース・バナー/ハルク:マーク・ラファロ
スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ:クリス・エヴァンス
ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ:スカーレット・ヨハンソン
クリント・バートン/ホークアイ:ジェレミー・レナー
ピエトロ・マキシモフ/クイックシルバー:アーロン・テイラー=ジョンソン
ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ:エリザベス・オルセン


スタッフ
監督・脚本:ジョス・ウェドン
制作:ケヴィン・ファイギ
制作総指揮:ヴィクトリア・アロンソ、ジェレミー・レイチャム、スタン・リー、アラン・ファイン、ジョン・ファヴロー


劇場情報:全国のTOHOシネマズ系列で公開中

2015年6月25日木曜日

映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』textくりた

「鉄と血と、怒れる女神の物語」 

※ネタバレしている箇所があります

Diorの広告塔としても有名なシャーリーズ・セロン。
177cmの長身にすらりとした長い手足、健康的な肌にブロンドヘア。 そして形の良いアーモンド型の目にはブルーグリーンの繊細な瞳がはまっている。 彼女の持つまばゆいばかりの美貌は人々を惹きつけ、魅了してありあまる。

 その彼女が美しい風貌をかなぐり捨てて、丸坊主&黒塗りヘッドの、片腕で挑んだ『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。
本作でのシャーリーズ・セロンは「美しい風貌」を捨てているかもしれないが、それでもやはり彼女は美しく、神々しかった。
砂埃と血とオイルにまみれ、身も心も傷だらけになりながらデス・ロードを爆走する彼女のその姿は誰よりも気高く、そして誰にも支配されない戦いの女神さながらだ。
正直言ってマックス役のトム・ハーディの影も薄くなるほどの苛烈さで、一体どちらが主人公なのか観るものを惑わせる。
いや、どちらかというと彼女が演じるフュリオサこそ真の主人公だといって差し支えないのかもしれない。

 「マッドマックス」シリーズの主人公・マックスの象徴である黒の革ジャケットとソード・オフ・ショットガン、そしてインターセプターは確かにハーディ演じるマックスの持ち物であったが、ショットガンは不発、インターセプターはほとんどウォーボーイズの1人に乗り回されて最終的にはフュリオサが運転するウォータンクに押しつぶされて大破する。

  マックスがマックスとしての象徴を1つずつ取りこぼしていく(ジャケットだけは取り返すが)その一方で、シャーリーズ・セロンが演じるフュリオサはどうか?

 まずフュリオサ(Furiosa)という名前。 これはポルトガル語で「激怒する」等の意味合いがあり、原題の「Fury Road(フューリーロード)」とはまさに、彼女そのものを表しているかのようだ。
また『マッドマックス2』でメル・ギブソン演じるマックスは物語後半で左目を負傷するのだが、本作のクライマックスシーンではフュリオサが右目を負傷し、同じような傷を負っている(トム・ハーディ=マックスの顔面は無傷)。
これは監督であるジョージ・ミラーが意図的に彼女をメル・ギブソン=マックスの対となるキャラクターとして考え、真の意味での主人公として位置づけていると言っても良いのではないだろうか。

 フュリオサはボロボロになりながら老女ばかりの「鉄馬の女たち」を率い、イモータン・ジョーの5人の妻たちを守りながら「怒れる道(Fury Road)」をひた走る。
自らの命を燃やし尽くさんばかりのその勇姿は、イモータン・ジョーの焼印よりも強烈に、観る者たちの胸に深く刻み込まれるに違いない。

 そして忘れてはいけない「鉄馬の女たち」の戦い振りも鮮烈かつエモーショナルだ。 劇中ではあまりのスピードの速さに状況を把握するだけで精一杯だが、鑑賞後のクラクラした頭の中で、ひとつひとつ彼女たちの戦いや表情を思い返すと、ふいに胸が詰まるのを感じる。
観終わった後に泣けてくるなんてそんな映画はいまだかつてなかった。しかもこんなハイテンションのバイオレンス映画で涙する日がくるなんて一体誰が想像しただろう?

 ハイスピードのカーアクションにド派手なクラッシュ、異形のキャラクターが破壊の限りを尽くすだけのバイオレンス作品かと思いきや(確かにそれも見物だが)、決してそれだけではない。
奪われてばかりだった女たちが反旗を翻し、そして自分以外の誰かを守るために立ち上がるこの映画は、女神が人々を再生へと導く神話なのである。

シャーリーズ・セロンの女神度:★×MAX!!!!!
(text:くりた)

関連レビュー:
映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』text高橋 雄太
映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 「マックスの亡霊たち」textくりた




『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

2015/アメリカ/120分

『マッドマックス』(1979)のシリーズ第4作。石油も水も尽きかけた世界。主人公は愛する家族を奪われ、本能だけで生きながらえている元・警官のマックス(トム・ハーディ)。荒野をさまようマックスは、資源を独占し恐怖と暴力で民衆を支配する凶悪なイモータン・ジョーに捕えられる。そこへジョーの右腕の女戦士フュリオサ(シャーリーズ・セロン)、配下の全身白塗り男ニュークスらが現れ、マックスはジョーへの反乱を企てる彼らと協力し、奴隷として捕われていた美女たちを連れ、決死の逃走を開始する。追いつめられた彼らは、自由と生き残りを賭け、決死の反撃を開始する!

出演
マックス:トム・ハーディ
フュリオサ:シャーリーズ・セロン
ニュークス:ニコラス・ホルト
イモータン・ジョー:ヒュー・キース=バーン
トースト:ゾーイ・クラビッツ

スタッフ
監督:ジョージ・ミラー
脚本:ジョージ・ミラー、ブレンダン・マッカーシー、ニコ・ラザリウス
撮影:ジョン・シール
美術:コリン・ギブソン
衣装:ジェニー・ビーバン
編集:マーガレット・シクセル
音楽:ジャンキー・XL
制作:ダグ・ミッチェル、ジョージ・ミラー、P・J・ボーデン
製作総指揮:イアイン・スミス、グレアム・バーグ、ブルース・バーマン

劇場情報:TOHOシネマズ、ユナイテッド・シネマ、MOVIX、ピカデリーの各劇場他にて絶賛公開中

2015年6月11日木曜日

『デッド・シティ 2055』 ~ 放課後映画クラブ(座談会) ~

【『デッド・シティ 2055』のストーリー】

企業王ジュリアン(ブルース・ウィリス)は、現実世界に飽き足らないリッチな顧客の欲望を叶える、治外法権で享楽的なリゾート都市“VICE(ヴァイス)”をオープンさせる。そこでは人間と見間違うほどの精巧なレプリカントを相手に殺人や暴力行為、ドラッグ、レイプといった己のダークサイドの快楽を体現できるのだ。しかしそのせいで現実世界の犯罪も急上昇していた。富裕層たちは思うがままに勘違いするのだ、何故ヴァイスで許されることが現実世界では非合法に当たるのかと。事件を担当する刑事ロイ(トーマス・ジェーン)は、ヴァイス閉鎖こそが犯罪撲滅の解決策と考えていた。ある日レプリカント・ケリー(アンビル・チルダーズ)に不具合が生じ、毎夜消去されるはずの恐ろしい過去の記憶が残りフラッシュバックされる。自我に目覚めた彼女はロイの助けで現実世界へ脱走し、そこで自らの過ちを悔やむレプリカント開発者エヴァンに出会う。ヴァイス壊滅を熱望する3人は、ジュリアンの元へ真の現実世界を取り戻す戦いに乗り込んでいく……。



2015年6月某日
〜有楽町ビル サンマルクカフェにて〜
【 参加者:今泉小川栗田常川 (五十音順、敬称略) 

※この記事は『デッド・シティ 2055』の結末に触れている箇所があります

小川 ) じゃあこれから『デッド・シティ 2055』について座談会ということで…(鑑賞会)お疲れ様でした

今泉)お疲れ様でした

栗田)お疲れ様でした

常川)お疲れ様でした

 ) えーっと『デッド・シティ』ということで、僕はブルース・ウィリスは主役で、悪党をやっつけるっていうのを想像していたんですが、まったく違う展開でした

今 ) 端役でしたね

) まぁどうでしたか?っていうのを…アレですけど(聞きたいなと)

今 ) 笑

) 笑

) 笑

 ) まずケリー(アンビル・チルダーズ演じるレプリカント)っていう人は『ブレードランナー』(※1)的な何かかと…

公式HPより引用©2014 GEORGIA FILM FUND TWENTY-EIGHT,LLC 


 ) 「あ、これは」、みたいな、なので若い人が、映画好きの若い人が、こういうの撮ろうかな、ってそういう映画なのかなぁと。(今泉に向かって)どうですかね?

今 ) 話としてはなんか、『ロボコップ』(※2)みたいだなと。記憶の断片が残ってて、色々する、みたいな…

 ) ああー、そうそう

今 ) 今やってる『チャッピー』(※3)とかにも近いかなと

 ) (栗田に向かって)どうですか?

 ) なんかでも、人工知能とかあんま関係ないんじゃないかって感じもしましたけど

 ) あー、最後、誰が人工知能かもわからないような感じもしましたし…常川君は?

 ) ……

 ) 無言です(笑)

今 ) 笑

 ) 笑

 ) いや、最初の、ブルース・ウィリスの登場シーンがなんか、すげぇ、これは…「これは…」って感じでしたね…(笑)

 ) プロモーションビデオみたいな(笑)

 ) 銀行強盗とかマフィアみたいなとことか…

 ) あれこそ、バットマンの『ダークナイト』(※4)の始まりみたいな、あっけなくみんな死んじゃうみたいな感じかと。したら、いきなり“ウィーン”って(ブルース・ウィリスが)出てくるから「おや?」って思いましたよね(笑)、そこで

今 ) 笑

 ) 笑

 ) 笑

 ) あとほとんど白人なんですね、ほとんど外国人が出てこない。警察もほとんどみんな男で白人。で、「俺の銃でかいだろ?」って自慢してますけど。まぁ…そういう事ですよね(笑)

今 ) 笑

 ) 笑

 ) 笑

 ) 出てる女の人も金髪の人。白人の、セクシーな女の人しか出てこないっていう(笑)。こういう設定もはっきりしてますね

 ) 観てていつの時代か、よく分からなくなってきますね

 ) そーなんですよ。で、ここに(映画タイトルを指差して)「2055」って書いてあるんですよね。先入観でみると、「えっ、こういう2055年ですか?」って感じだよね(笑)

 ) なんかパソコンとかも古かったですよね

 ) あー

 ) あ、そうそう。だから「今」なんですよね。ほとんど「今」

 ) ぜんぜん未来感ない

 ) ぜんぜん進化してない

 ) それがわざとなのか、なんなのか…でも逆にそれがけっこうリアリティを持っていて、あの、微妙な年代なんですよね。2100年とかだったら違うんでしょうけど…2055年て中途半端なんですよね

 ) 40年後ですね

 ) そうそう。もしかしたらこういう未来もありうるんじゃないかっていう。でもなんとなくもっと高度化された未来っていうのを、みんなもそうだと思うんですけど、僕は想像してて。だから(もっと高度に進化していると考えて観ると)パソコン古いですよね、あんなの、変わってないじゃん

 ) わざわざ古いままにしなくてもいいんじゃないかっていう

 ) モニターがいっぱいある(だけ)っていう。そんなに、特に、2055年感は一切ない

今 ) システムが火を噴くとかねぇ(笑)。あんなのあり得ないでしょ

 ) ショートしちゃってる(笑)

今 ) そうそう、ショートして火を噴くとかないでしょう

 ) それでシステムの復旧に時間が掛かるっていうのもちょっとなぁっていう…色々苦しいところはありつつ、そういうもんなのかなぁって

 ) そうですね

 ) これって一応、何やってもイイみたいな場所なんですよね?

 ) あ、そうそう。「VICE(ヴァイス)」っていうその…

今 ) 警察がいないんですよね

 ) 無法地帯なわけなんですよね、要するに

 ) え、あのホテル内だけがってことじゃなくて?

 ) あれは会社兼ホテル兼…あの一角がブルース・ウィリスの城なわけですよね、あの一角が

公式HPより引用©2014 GEORGIA FILM FUND TWENTY-EIGHT,LLC


 ) で、警察も買収して、無法地帯なわけですよね。だから何やっても許されるわけですよね

 ) あの(夜の)12時になったら家帰れみたいなの、あれなんスか?

 ) フフッ(笑)

 ) え?何それ?

 ) 家帰れっていうか、あれ記憶があの…

今 ) 殺されちゃった人の記憶がリセットされちゃう

 ) そう、レプリカントの記憶だけはリセットされちゃう

 ) あー、そうそう、設定をね

 ) でも12時って早くね?って思いますよね

 ) 12時で再起動ってことですね

 ) 無法地帯感ぜんぜん無かったですね。最初はそこをもっと見せるべきだった

 ) もっと、やるならってことですよね。それを完璧にブルース・ウィリス筆頭の社員たちがギリギリの所で押さえているという…

 ) や、最初にもっと楽しそうな感じを見せた方が(良いかなと)…

 ) あ、楽しげな感じね、テーマパーク的な?

今 ) リゾートな感じではなかったね

 ) そういうんじゃなかったですね。もっと欲を吐き出す的な、快楽を超えた…あと殺人もなんでも良いっていう

 ) そういう意味では『トゥモローランド』(※5)と同じじゃないですか

 ) あー

 ) おー!

 ) なんでも叶うみたいな

 ) うんうん

今 ) あ、『コードネーム:プリンス』(※6)ってやつ…

 ) えっ?この監督の前作ですか?どういう…?

今 ) ヒューマントラスト(※7)の「未体験ゾーン」(※8)でやってたんで。それもブルース・ウィリスがちょい役で出てる

 ) へぇー

 ) へぇー、仲良いのかな?

今 ) それで出て貰ったんじゃないですかね(笑)

 ) どーゆー話なんですか?

今 ) どういう話だったかな?えーと、殺し屋がなんか…えーっとね、(観てから時間が)経ってるから…

 ) 同じ感じなんですか?近未来的な?

今 ) いや、近未来じゃなくて、殺し屋が出てきて…話はちょっとド忘れしました、すみません(笑)

 ) まぁ、でもブルース・ウィリスとはそれで関係があると…

 ) そういう(未体験ゾーン的な)1本であるはずですよね。なんで普通に劇場公開なんだっていう感じなんですけど…

 ) ああ、そうだよねぇ。テレビシリーズの番組のああいうテイストみたいに感じましたけど。シーズン何とか、あるじゃないですか?

今 ) ?

 ) ?

 ) ?

 ) …まぁ見事に続編が出そうな感じでしたけど…

 ) ああ、最後の…

今 ) 最後、目を覚ますところ

 ) 「ジェダイの逆襲」(※9)じゃないけど、「レプリカントの逆襲」みたいな。そういう映画始まるんですか?

 ) 始まるんスか?

 ) わかんない…

 ) ぜんぜん期待感ないんですけど(笑)

今 ) 笑

 ) そうですね……あとクローンじゃなくて、レプリカント?

今 ) レプリカントっていうね、人造人間ね

 ) えっと、『ブレードランナー』?

今 ) 『ブレードランナー』かな?

 ) それもレプリカント?

今 ) うん、レプリカントですよね

 ) クローンじゃないんですよね

 ) 結局レプリカントの逆襲っていう話じゃなかったですかね?

 ) あ、途中からそうなりましたね

 ) だから逆襲は終わったんじゃないですかね

 ) あ、逆襲終わったんだ。あ、わかった、じゃあ、今度は「レプリカントの逆襲」じゃなくて人間の…

 ) あ、なるほど、『猿の惑星』(※10)みたいな?

 ) そうそう、今度はそうだよね。間違ってた。最初は人間と…組織と警察って言うのがあって、(その人たちが)レプリカントを押さえてたのが、レプリカントが逆襲して…で、実はまだ(逆襲したのに人間が)生きてた、っていう感じでね?

 ) 結局あいつ(ブルース・ウィリス)人間なんですか?

 ) いや、それは分からないんですよねー

 ) でも最後に撃たれてたよね、思いっきり

 ) こいつ(トーマス・ジェーン演じる刑事)は人間ですか?

公式HPより引用©2014 GEORGIA FILM FUND TWENTY-EIGHT,LLC

 ) これは人間。刑事役はね。でも一番面白かったのはラストシーンで、あの、ケリーが…(笑)。最後オールバックになってアップグレードバーションで出てきて…

 ) そこ、むちゃくちゃ面白かった(笑)

 ) 分かりやすい(笑)

今 ) 笑

 ) 「そこですか」みたいなね(笑)。スーパーサイヤ人的な感じで(笑)

今 ) 笑

 ) 笑

 ) 笑

 ) その組織をやっつけたら、最後、(スクリーンの)画面の端っこにいた女の人が、男をボコボコにしてるっていう…あれはもうゾンビすよね…笑っちゃいました(笑)

 ) レプリカントの逆襲でしたね…!

 ) (今泉に向かって)どうですか?

今 ) いや、なんかぜんぜんリゾートとか楽園に見えなかったから…

 ) そういう意味で「デッド・シティ」

 ) 邦題なんですね、これ

 ) そうですね。なんでデッドシティかって…そのまんまでしたね。(原題の)“VICE”ってどういう意味なんですかね?(※11)

 ) どういう意味なんでしょう?

 ) (キャッチコピーを見て)リゾート都市って書いてありますよ、ここには。「あなたの欲望をすべて叶える近未来都市ヴァイス」

今 ) 『マイアミ・バイス』(※12)のバイス?

 ) (常川に向かって)どうですか?

 ) うーん、なんか、この人…ケリーが、なんか(ある役の)元奥さんみたいな感じで…で、(自分の昔の)写真見て「コレ私?」みたいなことやってたじゃないスか?

 ) うんうん

 ) なんか…顔ちげーなって…

 ) 違った?(笑)

 ) あ、顔が違う?

 ) いや、なんか…(写真に写っている顔は)化粧してない顔みたいな。そこら辺の記憶はあるんだなって。そこら辺の記憶まであるのがちょっとよく分からなかった

 ) 奥さんは、(レプリカントの)デザイナー?の奥さんで、死んだんでしょ?殺されたか死んだかで。(奥さんのことを)忘れられなくて、個人的な趣味で作ったんでしょ?奥さんを。それがこれの設定でしょ?それ、まるまる新しいコピーロボットなんでしょ?レプリカントって。

 ) あと、なんか最初の方で本物の人体の皮膚使ってるみたいなこと言ってたから、だから奥さんそのまま使ったのかな?と思って、結構えぐいことしてるなって

 ) それヤバイですよね。機械じゃないって言う

 ) そこら辺の細かい設定もよく(どうなってるのか)わからなかったですけどね

 ) 生身の人間に人工知能埋め込んだのかな?どうなんでしょう?記憶が残ってるっていうのもねぇ

今 ) あと車の上に(2階以上の高さから)落ちても死なないのに、何で首絞められたくらいで死ぬのかも分からなかった

 ) 確かにあれは、生身の人間では絶対あり得ないですね

 ) あとみんな怪我しないですよね

 ) あ、そうそう、血が出ないっていう

今 ) 血が流れてない

 ) レプリカントは生き返るから殺してもいいみたいな括りなんスか?

 ) あ、法律がってこと?この人(ブルース・ウィリス)のリゾート都市VICEの中ではオッケー

今 ) レプリカントには何してもイイと

 ) で、(VICEの)外に出たら、逆に犯罪を犯さないだろうってことでVICEを作ったんでしょう?VICEの中は無法地帯だけど、外に出たら罪悪感を知るから…だからVICEは良いもんだって思って作ったけど…(刑事は)ぶざけんなっていうね。結局、でも外に出ても…殺人鬼は生まれるわけですよ。VICEによって。で、外の世界に行って実際、事件を起こして…で、こいつ(刑事)は気に食わんっつって。(VICEに)乗り込んで…殺されるっていう…あ、死んでないか?

 ) 死んでない

今 ) 死んでない

 ) 勝手に殺しました…あ、撃たれたけど生きてましたよね。平気な顔して歩いてましたけど。でも一応血が流れてた

今 ) 笑

 ) 笑

 ) 笑

 ) (ポスターを見て)で、こういう構図なんですよね、見事に、三角関係

公式HPより引用©2014 GEORGIA FILM FUND TWENTY-EIGHT,LLC 


 ) ココが(刑事とレプリカント)手を組んでこの暗黒卿(ブルース・ウィリス)をやっつけるっていう…はずだったけど…復活、みたいな?

 ) めっちゃあっさりでしたよね、最後

 ) そうですね

 ) これで終わんだ?みたいな…

 ) (栗田に向かって)どうですか?

 ) えっ?

 ) まとめてください

 ) えっ?まとま…るかなこれ、難しい気が…いやー…そうですね…

 ) 感想でも

 ) え、感想?感想……ひさしぶりに(映画を観ている)途中で眠くなりました…ウトウトしちゃいましたね

 ) はい、じゃ、今泉さん

今 ) うーん、別に続編は観なくていいかなって感じかな

 ) …じゃ、常川さん…

 ) これ以外にも劇場公開する(べき)映画あるのに…

 ) (続編)観たいの?

 ) いや、これじゃないヤツでもっと劇場公開して欲しいのいっぱいあんのに…

 ) なるほど

 ) ああー、確かに。何故コレをっていう?

 ) そう、何故コレを普通に公開してんだろ、日本…

今 ) 『コードネーム:プリンス』って今、調べて思い出したんだけど

 ) え?はい

今 ) ブルース・ウィリスがマフィアのドンなんだけど、それをある殺し屋に奥さんと子供を殺されて、それを追いかけるっていう話。でもブルースは主役じゃなくて、追いかけられる殺し屋の方が主役

 ) あ、そうなんですか。(ブルースは)主役じゃない。へぇ、じゃ、次回はそれを観るということで…

今 ) いや、「未体験ゾーン」のやつだからもうやってなくて…

 ) どうせだったらこの人(ケリーを指差して)上着を着てないほうが良かったですよね。途中で着ちゃったから……ってどうでも良いこと最後言っとこうかと

 ) ケリーちゃんね?もっと観たかった?

 ) なんか、反撃開始したときに、タンクトップみたいな(服装だったのに)…でも逃げるとき上着ちゃったんですよ

 ) うんうん

今 ) あと技術者の人たちが建物から逃げるとき自主映画っぽい逃げ方だったなって(笑)

 ) えっ?

 ) きっと多分、そう言うノリ…(笑)

 ) ノリ?(笑)

今 ) 金の掛かった自主映画

 ) ……じゃ、これで…

 ) 終わり!?(笑)


※注釈※

(※1)『ブレードランナー』
1982年に公開されたアメリカのSF映画。フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作としている

(※2)『ロボコップ』
1987年に公開されたアメリカのSFアクション映画。『ロボコップ2』、『ロボコップ3』、およびリメイク版『ロボコップ(2014)』がある

(※3)『チャッピー』
2015年に公開されたアメリカのSF・アクション映画

(※4)『ダークナイト』
2008年のアメリカ・イギリス共作映画。バットマン実写映画版第6作目

(※5)『トゥモローランド』
2015年に公開されたアメリカのSFアドベンチャー映画

(※6)『コードネーム:プリンス』
2014年に公開されたアメリカのスリラー映画

(※7)ヒューマントラスト
渋谷にあるテアトル系列の映画館「ヒューマントラストシネマ渋谷」のこと

(※8)「未体験ゾーン」
ヒューマントラストシネマ渋谷で年に1度開催される特集上映企画「未体験ゾーンの映画たち」のこと

(※9)「ジェダイの逆襲」
『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』 『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』が混ざってしまった模様。『~ジェダイの帰還』は2004年までの旧邦題は『ジェダイの復讐』

(※10)『猿の惑星』
1968年に公開されたアメリカのSFアクション映画。ピエール・ブールによるSF小説『猿の惑星』を原作とする『猿の惑星』シリーズ全5作の1作目

(※11)VICE
悪,非行, 堕落行為,悪習,悪癖の意

(※12)『マイアミ・バイス』
2006年に公開されたアメリカのポリスアクション映画。1984年から1989年にかけてアメリカ合衆国で放映していた『特捜刑事マイアミ・バイス』の映画版


『デッド・シティ 2055』




監督/脚本:
制作年:2015年
制作国:アメリカ
配給:東京テアトル、日活

出演:トーマス・ジェーン、ブルース・ウィリス、アンビル・チルダーズほか


公式ホームページ:http://dead-city.net/

2015年5月12日火曜日

映画『セッション』クロスレビュー

過大評価 


映画ファンの間では、本作が絶賛され過ぎている、と感じている。

音大生でジャズドラマーのアンドリュー。彼は当初、憧れていたフレッチャー先生の指導に、喜びを感じていたが、彼の、理不尽なまでのしごきに耐えかね、鬼教師を見返そう、とドラムに打ち込んでいく。アンドリューはそのためなら、恋人を捨て、父との関係性もぎくしゃくさせ、練習に没頭していく。

まずこの手の、「何者かに魅力を感じ、自分の全てをなげうつ」というお話で、非常に重要な、カリスマの描写において、本作は説得力に欠ける。フレッチャーには、観客と主人公とで共感すべき魅力が、絶対に必要だが、楽器の演奏、または指揮のプロという描写がない上、彼がバンドの士気を上げていく描写もない。その欠陥ゆえ、ラストの、あの素晴らしいシークエンスの魅力も、激減させる。

また、アンドリューのドラマ描写も、もろ手を挙げて絶賛はできない。彼の、殺気に満ちた練習描写も、血豆のつぶれた手、ドラムにしたたる汗、極端なアップの手や目の表現など手数が少なく、陳腐である。

ちなみに、監督のデミアン・チャゼルがP・T・Aを大好きなのは、ひしひしと伝わってくる。その辺りは微笑ましいところである。

白熱度★★★☆☆

(text:梅澤 亮介)

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われはロボット


 これはロボットの映画である。
 ドラマーを目指して音楽大学に入学したアンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)は、鬼教師フレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドに加入する。彼はフレッチャーのスパルタ指導にも耐え、主奏者の座を手にするが…。
 人物のドラマが弱い。ニーマン以外のバンドメンバーはほぼ名前もセリフもなし。ニーマンは恋人ニコル(メリッサ・ブノワ)とあっさり別れる。彼を捨てた母親も伏線ではない。
 一方「物」を描くとき、映画は活性化する。
 演奏シーンでは楽器と人間が同等だ。鍵盤と叩く指、管楽器と吹く口など、人と楽器が一体になったアップが連続する。ニーマンとドラムが切り返しされ、ドラムが人のようにニーマンと見つめ合う。言い換えればニーマンはドラムと同じく「物」。さらに、バンドメンバーの一斉起立、ドラマを叩くニーマンの手の上下動、フレッチャーの拳を握る動作、指揮の動作。こうした運動が繰り返される。
 機械のように定型化された運動を行う彼らは、人というよりロボットである。
 ニーマンはフレッチャーの支配を逃れて、自律した音楽機械として駆動する。そのときカメラ=撮影機械は、二人を高速パンとアップの連続で追随する。そして圧倒されつつスクリーンを凝視する私は、見るロボット=映画機械になる。これぞ映画を見る快楽。
 さて、人がロボットなら、フレッチャーの「セッション」(授業)はロボット工場である。そこでタイトルを考え直す。原題『WHIPLASH』は曲名であるが、無理やり分解すればWHIP「むち」LASH「激しく打つ」だ。LASHを行うロボットの映画なのだから、タイトルは原題通り『WHIPLASH』、または『われはロボット』とする。 

機械化度:★★★★☆
(text:高橋 雄太) 

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そうだね、プロテインだね


一言、「圧倒された」。

マイルズ・テラー演じる名門音楽大学に入学したドラマーのニーマン。彼の情熱は凄まじく、途轍もなく、尋常じゃない。自分は一流になれると信じて疑わない。そのためには、どんなことだって犠牲にする。

そんなニーマンを、自ら率いるバンドにスカウトするのは、J・K・シモンズ演じる伝説の鬼教師フレッチャー。彼のバンドの練習時の鬼っぷりは、常軌を逸し、支配的であり、恐怖そのものだ。目標達成の使命にかられ、バンドのすべてをコントロール下に置き、どんな手段をもってしてでも自分の理想に持っていこうとする。

実際に近くにいたら絶対に関わりたくない、そんな異常な二人が相まみえる。まさしく「セッション」だ。

奇しくも、両者ともにアカデミー助演男優賞を受賞したということで、鑑賞前、『セッション』における鬼教師フレッチャー(J・K・シモンズ)は、『愛と青春の旅だち』(1982)における鬼軍曹フォーリー(ルイス・ゴセット・Jr)のような役まわりかと思っていた。しかし、そんなシンプルなことではなく、全くもって一筋縄ではいかないものだった。さらに、ニーマン(マイルズ・テラー)は、ザック(リチャード・ギア)とは途方もなくかけはなれている嫌な奴であり、ニーマンの恋人となるニコル(メリッサ・ブノワ)は、ザックにお姫様だっこされるポーラ(デブラ・ウィンガー)とは雲泥の差の扱いだ。

そんな登場人物なのに、なぜか異常なほど引き込まれた。感情移入してしまっている自分に驚いた。そして、時に人生には、決められた枠にとらわれずに何かを成し遂げることも「あり」なんだというメッセージを強く感じた。やはり、どんなに酷い状況でも、情熱や使命に燃える姿には心を打たれるのかもしれない。「エヴィ(エブリ)バディパッション!」とはパッション屋良もよく言ったもので、誰しも情熱を持っていたい。そして、目標、夢、使命(ミッション)があれば情熱を注ぎ込むことができる。まさしくこれは「PassionとMissionのSession」だ!

とは言え、原題は“Whiplash”。劇中登場する曲名であり、鞭打ちを意味する。そのままのタイトルだとやはりしっくりくるかもしれないが、日本でおなじみの単語ではないので『セッション』となったのだろう。

ちなみに、『愛と青春の旅だち』の原題は“An Officer and a Gentleman”。
それになぞらえて、こんなタイトルはどうだろう。“A Psychopath and a Dictator”。
ちょっと芸がない。

それならば邦題は…、『魂と狂乱の激突』……、やっぱり無理だ。

拳をぐっと握って何かを止めたくなる度:★★★★★
(text:神原 健太朗)

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恐怖との戦い


正直言ってジャズのことなど何も分からない。ましてやドラムのことだってよく知りはしない。ジャズドラムのスティックの持ち方が違うことだって『セッション』を観て初めて気がついたくらいには、何も知らない。

だけどオモシロイ。
いや、だからオモシロイ、のかもしれない。

ジャズ・ミュージシャンであらせられる某・菊地さんがこの映画をこき下ろしていらっしゃるように、本作はジャズに精通、もしくはプロの方々からすると怒り心頭なくらい実状とはかけ離れているようだ。

それだけは何となくわかる。

だがこの映画は「ジャズがどういったものか」を伝えるために作られたわけではないし、それどころか見終わった後には音楽の映画ですらなかったように感じられるような作品だ。
これは監督であるデミアン・チャゼルが「音楽を介しての恐怖」を描きたかったとコメントしているように、その恐怖との戦いの映画になっているのだ。

音楽を介しての恐怖は、音楽教師のフレッチャーに集約されている。

怪物然としたフレッチャーと、それに食らい付き食い尽くそうともがく主人公ニーマンのボクシングであり、プロレスであり、喧嘩であり、戦争の映画なのである。
なので「ジャズはよく分からないから」と敬遠する必要はないし、むしろジャズを知らない人ほど純粋に楽しめる作品になっている。

それがジャズミュージシャンからは嫌われる要因のひとつになっているのかもしれないが、それでも映画作品として楽しめるようになっていることには違いない。

フレッチャー先生怖い度:★★★★☆
(text:くりた)

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 サスペンス、ホラー映画にはサイコパスや怪物が登場することが多い。1人(1匹?)でも充分に話は成立する。2人なら、さらにパワーアップしそうなものだが、『フレディVSジェイソン』(2003)のように、おバカ作品的扱いを受ける場合もある。しかし所謂サスペンスでもなく、2人のサイコパスが登場しながら、鑑賞後も余韻に浸り、しばらく座席を離れたくなくなる作品があれば素敵ではないか。それが『セッション』だ。

 主要人物2人は名門音楽大学講師フレッチャーとドラマー志望の新入生ニーマンで、音楽(ミュージック)サイコパスとでも呼ぶべきか。ニーマンは、音楽史に残る逸材を育てるという、フレッチャーの狂人的指導により、元来持っていた資質が完全覚醒してしまうのだが、サイコパス同士が争うのだから、セッションどころではなく、戦(いくさ)となる。その他登場人物やサイドストーリーは極端に影が薄く、2人のバランスの狂った内面がそのまま投影されているかのようだ。しかし、緊迫したやり取り、常軌を逸した行動が映像として、時に心の経絡秘孔を突いてくる。また同時に、両者間に介在する音楽により、音の波動、振動も身体に降り注ぐ。ドラムだからこそ為せる技かもしれない。

 芸術を極めるのに艱難辛苦が伴うのは想像できるとしても、完全にフィクションでしかありえない設定、展開であり、逆にフィクションだからこそ、ここまで出来たともいえる。まさにスクリーンで体験すべき「劇映画」である。

★★★★☆
(text:今泉 健)

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『セッション』
監督/脚本
デイミアン・チャゼル

製作総指揮
ジェイソン・ライトマン

製作
ジェイソン・ブラム

撮影
シャロン・メール

編集
トム・クロス

美術
メラニー・ペイジス・ジョーンズ

音楽
ジャスティン・ハーウィッツ

キャスト

マイルズ・テラー - アンドリュー・ネイマン
J・K・シモンズ - テレンス・フレッチャー
ポール・ライザー - ジム・ネイマン
メリッサ・ブノワ - ニコル
オースティン・ストウェル - ライアン
ジェイソン・ブレア - トラヴィス
カヴィタ・パティル - ソフィー
コフィ・シリボー - グレッグ
スアンネ・スポーク - エマおばさん
エイプリル・グレイス - レイチェル・ボーンホルト

作品情報:名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし…。

公式ホームページ:http://session.gaga.ne.jp

2014年12月22日月曜日

映画『ベイマックス』クロスレビュー


ドラえもん、ターミネーター2、逆襲のロボとうちゃん(クレヨンしんちゃん)に至るまで、古今東西、少年とロボットの物語は掃いて捨てるほど作られてきたのに、またロボットものですか……もうそんなにパターンないだろ……と思っていたけれど、この映画が迎える一つの臨界点に息を飲んだ。兄が遺したロボットとともに、敵を討つ――その先に、やわらかケアロボット・ベイマックスならではの展開がある。高まった観客の興奮にも、突き放すような言葉が投げかけられる。「人殺しには同意してない」
 たとえ戦闘用ロボットでなくとも、ヒトはどういうわけかそれをごく当たり前に、殺人のために使おうとする。『ベイマックス』はそんな「当たり前」にチクリと注射する映画だ。果たして、狂気に駆り立てられた少年は他人の痛みを知り、赦すことができるのか――。ただ、その問いかけに対するアンサーをこの映画がちゃんと提示してくれているのかどうか僕にはどうも確信がなくて、ごまかされたような気もする。だって、生みの親の真意に反して武装させられたベイマックスは、素材そのものの味を奪われた料理みたいに、なんとも残念なかんじがする。「お前、そのままの姿がいちばんだよ」と声をかけたくなる。優しさで世界を救うのって、難しいんだなあ。この胸のもどかしさこそ、10段階評価してベイマックスに教えたい。

ベイマックスの質感 ★★★★
(沖田 灯)
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〝Big Hero 6〟としての『ベイマックス』

『寂しいとき、一緒にいて欲しい人は誰ですか?』って、そんな話じゃないだろうがッ!
少年少女の為の科学オタクヒーロー映画だろうがッ!
脳みそマシュマロかッ!
と、現在の私はテレビ前で日本版の予告が流れる度に憤慨している。

本作は暴力で問題は解決されないと言うこと、悲しみに振り回されないこと、自分の持っている力によって問題を解決すること、といった如何にも教訓めいた話を笑いとアクションのミックスによって説教くさくならないようポップに仕上げている快作だ。

確かに日本版の予告のようにほのぼのとしたベイマックスや友達との繋がりと癒し、と言うものも描かれている。けれど、ただ仲良しこよしをやってるだけではなく〝仲間・チーム〟になるっていうのはどういうことなのか?を投げかけてきている。
それは優しさだけでは補いきれないものなのだと、意見の不一致であったり、時には自らの誤ちだったりを素直に受け入れることによって〝友達〟から〝仲間・チーム〟にもなれる。
そこを乗り越えたその先に1人の人間としての成長があり、また違った問題に立ち向かうことが出来るんだと、そんなことを優しく語りかけてくる。言葉を使わずに。あのフワフワのベイマックスを通して。

これは子供たちに見せるべき映画の1つだと思う。
良い子のご両親たちは妖◯ウォッチよりこっち見せた方が今後の子供たちの成長の為に良いと思われます。
◯怪ウォッチは見た事はないけれども。

ベイマックス欲しさ度:★★★★
(くりた)

海外版予告編をどうぞ↓ 



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「ベイマックス、胸が痛いよ、、、。」



医療ロボ「ベイマックス」。彼の優しさが心に染み入ります。この映画を観て良かったなあ!と素直に思いました。もし自分に子どもがいたら一緒に観たいと思いました。

2XXX年、ハンペン型医療ロボット「ベイマックス」。彼の歩き方がとにかく好き。ぽてぽて、ぽてぽて、と歩きます。中身は空洞?なので重心が軽いのです。見た目は大きいけれど、気は優しい。どこかロボット特有のすっとぼけた所があって、それはとても愛くるしいです。(この既視感は、となりのトトロでした)

「ベイマックス大丈夫だよ!」と言って合図を出すまで、彼は人間を気遣い、心配し、あらゆる外的から守ってくれます。彼は「ぎゅっと抱きしめられたくなる気持ちにさせられるように」設計されました。ベイマックスを抱きしめたい!という人は結構多いんじゃないかな??

ベイマックスは主人公のヒロのお兄さんであるタダシによって設計されました。ヒロは決して癒えない、ある大きな悲しみを抱えてしまいますが、物語が進むに連れ、ヒロはベイマックスのおかげで傷心から立ち直る事ができます。

ベイマックスはロボットなので、ヒロの「心の傷」を直接、治療する事はできませんが、あらゆる手段を用いてヒロを優しさで包み込んでくれたのです。

いろいろな映画へのオマージュや、機械の発達、物質主義、現代文明への危惧、軍事利用への批判、など、見所要素が随所に詰め込められている映画である所も見逃せません。

僕はディズニー映画を何年かぶりに観ましたが(アナ雪すら観ていないという、、)しかし、この映画は自分と同じように、普段ディズニー映画を見ない人へ、特にオススメしたいと思いました。

「ベイマックス、もう大丈夫だよ!」

ベイマックスの温もり:★★★★
(小川 学)

/2014/12/22/pm7/新宿ピカデリー/日本語吹き替え/ほぼ満員

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日本語版予告編をどうぞ↓



監督 : ドン・ホール / クリス・ウィリアムズ

製作 : ロイ・コンリ
製作総指揮 : ジョン・ラセター
脚本 : ロバート・L. ベアード / ダニエル・ガーソン
ヘッド・オブ・ストーリー : ポール・ブリッグス
プロダクション・デザイン : ポール・フェリックス
音楽 : ヘンリー・ジャックマン

作品情報かけがえのない大切な人を失った時、ぽっかりと胸にあいた穴はどう治せばよいのだろうか。最愛の兄を失い心に深い傷を負った14歳のヒロの前に現れたのは、何があっても彼を守ろうとする一途な<ケア・ロボット>ベイマックスだった。
 日本とサンフランシスコからインスピレーションを得た架空都市サンフランソウキョウを舞台に、壮大なスケールで描かれる二人の絆の物語は問いかける―「優しさで世界を救えるか?」と。素晴らしい奇跡が起こるその瞬間を、ぜひ大切な人と一緒に・・・。
ディズニー史上いまだかつてない優しすぎるロボットと少年ヒロの絆を描いた感動のアドベンチャー『ベイマックス』が、日本中を限りない優しさと感動で包み込む。

公式ホームページhttp://www.disney.co.jp/movie/baymax.html