2015年7月15日水曜日

映画『海街Diary』text今泉 健

Fairy Tale


Fairy Tale / おとぎ話 :子供と家庭のための童話。民話。民間に語り継がれてきた昔話や伝説、民譚、民間説話(新潮現代国語辞典より) 

 三姉妹で暮らす家に腹違いの妹が加わり四姉妹になる物語だ。綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、皆美人である。周りの女優も樹木希林は別格としても総じて綺麗で、特に風吹ジュンは美しい。吉田秋生の同名の漫画原作は未読だが、頭をよぎったのは江口寿史の『可愛い子の渡る世間に鬼はいない』という別の短編マンガ。「鬼はいない」というと言い過ぎになってしまうが、救いの手は伸びるので、当たらずとも遠からずである。そういえば、清涼飲料水の宣伝で江口寿史は広瀬姉妹の似顔絵を描いていた。

 月並みな言い方だが、誰が映っても美しいということで、画面が綺麗になると認識させられた。また感覚的なものだが、女優が張り合っている様子を感じず、チームワークよく、各々の役割に専念しているように見えた。インタビューからするとそのような撮影現場だったようだ。四姉妹は真っ直ぐに生きてる感じで、昭和の女優のように汚れた感じや妖艶さはないが、鎌倉の四季の風景と日本家屋の陰影にも馴染んでいたと思う。そしてその美人達の周りには、モデルのようなイケメンではなくても、イケてる男達が集まってくる。この段階で「けっ<(`^´)>」と思いそうなものだが、淡々とした話しながらテンポの良い展開で、スクリーンに集中できた。

 設定は原作のままだそうだが、あり得ないおとぎ話的なイメージを感じる。特にお葬式や法事の場面が3回あるが、長女次女の喪服姿はコスプレの域だった。これもおとぎ話たる所以である。是枝裕和監督はおとぎ話作家だと思う。「そして父になる」、「空気人形」、「奇跡」にしても、出世作「誰も知らない」にしても日常的な設定を、話の展開でデフォルメして観客の心に訴えてくるところはこの作品でも当てはまっていた。

女優たちの美人度:★★★★☆
(text:今泉 健)



映画『海街Diary』

2015/日本/126分

作品解説

鎌倉に暮らす三姉妹の幸、佳乃、千佳は15年前に家を捨てた父の訃報を受ける。葬儀に出席した3人はそこで異母姉妹のすずと出会う。母親も既に他界していたため、身寄りのない彼女を引き取る提案をし、4人で暮らし始めるが…

出演

香田幸:綾瀬はるか
香田佳乃:長澤まさみ
香田千佳:夏帆
浅野すず:広瀬すず

スタッフ

監督・脚本:是枝裕和
原作:吉田秋生
制作:石原隆、都築伸一郎

公式ホームページ:http://umimachi.gaga.ne.jp/

劇場情報:全国のTOHOシネマズ、イオンシネマ、ユナイテッドシネマの系列映画館で上映中

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