「トークショーゲスト: 監督マルタン・プロヴォ/女優エマニュエル・ドゥヴォス」
本作はフランスに実在した女性作家ヴィオレット・ルデュックの半生を描いた伝記映画である。ヴィオレット(エマニュエル・ドゥヴォス)は両親に愛されずに育った孤独を抱える女性。だが彼女には小説を書く才能があった。第二次大戦中は闇市で生計を立てながら地道に文章を書き溜め、いつしかボーヴォワール(サンドリーヌ・キベルラン)に認められるようになる。文壇は彼女をすぐには受け入れなかったが、誰かに認められたい、愛されたいと願うヴィオレットはもがき苦しみ、自身の恋愛を赤裸々に描いた小説を発表することでようやく世間に認められていくのだが……。
確かに本作のエマニュエルは美しくない。もともと一度見たら忘れられない印象を残す彼女だが、どこをどうメイクしたのか、本作では顔にコンプレックスを持つヴィオレットに説得力を与えている。そのギャップもあってか、同じくトークショーに登壇した今年のフランス映画祭の団長であるエマニュエルの美しさには驚いた。作中のヴィオレットとはまったく異なる優雅で気品ある姿はまさにフランスの大女優の名にふさわしい。
彼女は演じた役について「男でも女でも絵画でも文学でも、アートで苦悩を乗り越える姿が素晴らしいと思います」と語った。
監督と女優が口を揃えて言っていたのは、現在では忘れ去られてしまったヴィオレット・ルデュックという作家の文章が非常に美しいということ。もし日本語訳で体験できるならぜひ一読してみたい。
(text佐藤 奈緒子)
『ヴィオレット(原題)』
原題:VIOLETTE
フランス映画|2013年|仏語|カラー|1:1.85|5.1ch|139分|DCP
日本語字幕:松岡葉子
作品解説
『セラフィーヌの庭』でセザール賞最優秀作品賞に輝いたマルタン・プロヴォ監督が、“ボーヴォワールの女友達”と呼ばれた実在の女性作家、ヴィオレット・ルデュックの半生を描く。私生児として生まれたヴィオレットは作家モーリスと出会い、やがて小説を書き始める。ボーヴォワールを訪ね才能を見いだされるが、ヴィオレットの小説は大きなスキャンダルになりパリ文学界に大きな衝撃を与える。当時の社会に受け入れられず、愛を求める純粋さゆえに傷ついた彼女は……。生涯にわたり続いたボーヴォワールとの関係を中心に描かれ、背景となる40〜60年代の文学界の様子や、戦後パリの新しい文化の胎動も見所の一つとなっている。
出演
エマニュエル・ドゥヴォス
サンドリーヌ・キベルラン
オリヴィエ・グルメ
ジャック・ボナフェ
オリヴィエ・ピィ
『セラフィーヌの庭』でセザール賞最優秀作品賞に輝いたマルタン・プロヴォ監督が、“ボーヴォワールの女友達”と呼ばれた実在の女性作家、ヴィオレット・ルデュックの半生を描く。私生児として生まれたヴィオレットは作家モーリスと出会い、やがて小説を書き始める。ボーヴォワールを訪ね才能を見いだされるが、ヴィオレットの小説は大きなスキャンダルになりパリ文学界に大きな衝撃を与える。当時の社会に受け入れられず、愛を求める純粋さゆえに傷ついた彼女は……。生涯にわたり続いたボーヴォワールとの関係を中心に描かれ、背景となる40〜60年代の文学界の様子や、戦後パリの新しい文化の胎動も見所の一つとなっている。
出演
エマニュエル・ドゥヴォス
サンドリーヌ・キベルラン
オリヴィエ・グルメ
ジャック・ボナフェ
オリヴィエ・ピィ
監督:マルタン・プロヴォ
作品情報(フランス映画祭2015の作品ページより)
:http://unifrance.jp/festival/2015/films/film08
劇場情報:12月岩波ホールほか全国順次公開
配給:ムヴィオラ
© TS PRODUCTIONS - 2013
作品情報(フランス映画祭2015の作品ページより)
:http://unifrance.jp/festival/2015/films/film08
劇場情報:12月岩波ホールほか全国順次公開
配給:ムヴィオラ
© TS PRODUCTIONS - 2013
フランス映画祭2015
6月26日(金)~29日(月) 有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇(東京会場)にて開催!
公式サイト : http://unifrance.jp./festival/2015/
関連レビュー:
フランス映画祭
フランス映画祭2015試写〜映画『ヴィオレット』text藤野 みさき
6月26日(金)~29日(月) 有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇(東京会場)にて開催!
公式サイト : http://unifrance.jp./festival/2015/
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