2015年10月14日水曜日

第16回東京フィルメックス 特集記事vol.2《ラインナップ記者会見取材》(特別招待作品編) text梅澤 亮介


(写真:発表会に登壇された園子温監督)


 第16回東京フィルメックスのプログラム・ディレクターである市山尚三からは、特別招待作品9本が紹介された。オープニング作品は園子温監督『ひそひそ星』。クロージング作品はジャ・ジャンク―監督『山河故人』(原題)。
その他7本は以下のラインナップ。

『タクシー』 イラン/2015/82分/監督:ジャファル・パナヒ

『念念』 台湾、香港/2015/119分/監督:シルヴィア・チャン

『最愛の子』 中国、香港/2014/130分/監督:ピーター・チャン

『華麗上班族』 中国、香港/2015/118分/監督:ジョニー・トー

『約束』 日本/2011/15分/監督:塩田明彦

『昼も夜も』 日本/2014/69分/監督:塩田明彦

『あの日の午後』 台湾/2015/137分/監督:ツァイ・ミンリャン

 個人的注目作は『華麗上班族』。香港が生んだ名匠ジョニー・トーは、香港ノワールを筆頭に、武侠劇、ラブコメ、ヒューマンドラマなど、ジャンルを問わず幅広く制作してきたが、本作はミュージカル。大企業での昇進抗争劇が主な内容だ。
 キャスト・スタッフ陣も豪華! 主演はジョン・ウー監督作品で有名なチョウ・ユンファ。さらに、本映画祭のコンペティション部門・国際審査員として任命されたシルヴィア・チャンも出演している。舞台美術はウォン・カーウァイ監督作品で知られるウィリアム・チャン。香港映画ファンには垂涎ものだ。

 なお、今回は園子温監督も登壇された。「日劇*という大きな小屋を使って、皆さんに見て頂けるという素晴らしい最初の第一歩を踏み出せて光栄です」とのこと。
 また、本映画祭のオープニング作品を飾る映画『ひそひそ星』は、園監督が自身のプロダクションを作って制作した第1回の作品である。ロボットが8割、人類が2割になった未来の宇宙を舞台に、様々な星を巡って人間たちに荷物を届ける宇宙宅配便の配達アンドロイド、鈴木洋子を主人公にした物語。壮大な旅をしながら、3.11の傷跡残る福島を舞台とする。演者の三分の二が現地の仮設住宅の人だ。
 同作品は、9月15日に開催された第40回トロント国際映画祭にてワールドプレミアが行われ、NETPAC(最優秀アジア映画賞)を受賞している。

 特別招待作品は、世界的な名匠の作品ばかり。しかし、東京フィルメックスで公開されても、日本での劇場公開は1年以上先ということも多い。例えば、ジョニー・トー監督『奪命金』でさえ、2011年の同映画祭で上映されながら、2013年公開であった。映画ファンであれば、好きな監督の最新作は見たいはず。筆者も楽しみでしかたない。

*TOHOシネマズ日劇のスクリーン1は、スタジアム形式の946席と、7.20m×17.30mの大きさで日本最大級の劇場

ラインナップの興奮度:★★★★☆
(text:梅澤 亮介)

関連レビュー:
第16回東京フィルメックス 特集記事vol.1《ラインナップ記者会見取材》(コンペティション部門編)text大久保 渉

第16回東京フィルメックス 特集記事vol.3《ラインナップ記者会見取材》(ピエール・エテックス特集上映、フレンチタッチ・コメディ!、松竹120周年祭編) text藤野 みさき




第16回東京フィルメックス
2015年11月21日(土)〜29日(日)まで開催。「映画の未来へ」--いま世界が最も注目する作品をいち早く上映する国際映画祭です。アジアの若手によるコンペ部門、最先端の注目作が並ぶ特別招待作品の上映。特集上映のひとつはフランスのピエール・エテックス。


公式ホームページ
http://filmex.net/2015/

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