2015年10月14日水曜日

インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2015 開催中!!text大久保 渉


© http://www.indianfilmfestivaljapan.com


心がぐっと鷲づかみにされてしまう。

想い人へ向けた深い愛。家族へ向けた尊い愛。インド映画特有の、ナイン・エモーション(恋、笑い、悲しみ、怒り、勇猛、恐れ、嫌悪、驚き、静寂)が人間の心をあらわにし、見ているものの身体を熱くたぎらせていく……。

そんな魅力溢れるインド映画の祭典【インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2015】が、10月9日(金)から10月23日(金)まで、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。今年で第4回目を迎える同映画祭では、劇場未公開の最新インド映画を2週間限定で楽しむことができるのである(大阪会場/シネ・ヌーヴォ:10月10日~10月22日まで)。

今年のラインナップの特徴としては、「歌わず、踊らず」の作品が13本中7本も入っているということが挙げられる。昨今話題となった『マダム・イン・ニューヨーク』、『女神は二度微笑む』にも見られるように、もはやインド映画の魅力は歌と踊りだけにはとどまらない。

『国道10号線』
片田舎で「名誉殺人」を目の当たりにした夫婦が村人たちから執拗に追いかけられていく様を描いた緊迫のサスペンススリラー『国道10号線』。女性犯罪捜査官を主人公に、インドの闇夜に蠢く人身売買組織とのタフな対決を鋭い映像で描き切ったハードボイルドスリラー『女戦士』。そしてインド映画界で注目を集めるディーピカー・パードゥコーン(『恋する輪廻-オーム・シャンティ・オーム―』他)主演による、「うんち」の話で喧嘩ばかりする父と娘の家族愛を可笑しくも爽やかに描いたロードムービー『ピクー』等々、インド映画の「最先端」を突っ走る作品の数々が同映画祭をバラエティー豊かに彩っている。

『ピクー』

そしてもちろん、隆起した肉体としなやかな肢体がぶつかり合う、豪華絢爛な「歌って踊って」の作品も健在である。



『銃弾の饗宴-ラームとリーラ-』

「ロミオとジュリエット」を原案に、美男美女による華麗なダンス、身体の芯から熱くなってしまう魅惑的な歌、そして細部までこだわった民族衣装と荘厳な舞台装置が観客を幻想的な世界へといざなってくれる『銃弾の饗宴―ラームとリーラ―』。そしてインドの街中を縦横無尽に、キレキレなアクションととぼけたギャグが冴えわたる、抱腹絶倒のアクション大作『バン・バン!』がひときわ注目を集めている。


『バン・バン!』

そしてもう一つ、インド映画史に新たな一ページを刻む名作として期待が寄せられているのが、『ヨイショ!君と走る日』。体重を89㎏まで増量した主演女優ブーミ・ペードネーカル演じるふくよかな新妻と、両親からの要請でしぶしぶ見合い結婚を果たしたその夫が、まごつきながらも次第に心を通わせあっていく様をユーモラスに描いたこの傑作が、果たして劇場公開に結びつくのかどうか、追って注目していきたいところである。



『ヨイショ!君と走る日』

その他、血みどろの復讐劇や、愛憎劇、アート系作品も多数上映。人間の格好良さも腹黒さも、賢さも愚かさも、すべて包み隠さず見せてくれるところがインド映画の良いところ。「映画」のことも「人間」のこともますます好きになっていってしまう、そんな映画体験をこの機会に是非ご堪能していただきたい。


インド映画、もっと劇場公開して欲しい度:★★★★★
(text:大久保 渉 )






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インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン(IFFJ2015)
日本未公開の最新インド映画を上映。インドと日本、両国の人々の交流と友好を深めることを目的とした映画祭。東京会場は、2015年10月9日(金)~10月23日(金)まで、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。大阪会場は、2015年10月10日(土)~10月22日(木)まで、シネ・ヌーヴォにて開催。


タイムテーブル

開催期日
東京:10月9日(金)〜10月23日(金)
大阪:10月10日(土)〜22日(木)

場所
東京:ヒューマントラストシネマ渋谷
大阪:シネ・ヌーヴォ

公式ホームページ

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