2015年10月13日火曜日

第16回東京フィルメックス 特集記事vol.1《ラインナップ記者会見取材》(コンペティション部門編)text大久保 渉


激しく叫ぶ男のすがた。遠くを見やる女のすがた。青空の下に広がる自然の原風景。いずことも知れぬ異国の街並み。

10月7日(水)、アンスティチュ・フランセ東京にて開催された『第16回フィルメックス』全ラインナップ記者会見は、ほんの一瞬顔を向けただけで画面から目が離せなくなってしまうほどに、エネルギーに満ちた溢れた予告編映像の公開から始まった。

フィルメックスと言えば、毎年話題を集めるのがコンペティション部門である。今年は釜山映画祭のディレクターを務めるイ・ヨンガン氏が審査委員長を務め、その他自身の出演、監督作が同映画祭で多数上映される台湾の大女優・シルヴィア・チャン氏、『害虫』他話題作を発表し続ける映画監督・塩田明彦氏、映画評論家の斎藤敦子氏らが審査員席に名を連ねることとなった。 

今年のプログラムについては、同映画祭ディレクター・林加奈子氏による「作り手の揺るぎない覚悟と想いが受けとめられる」、「映画の未来を担う素晴らしい10本が揃った」というコメントがとても印象に残った。そしてそれでいて、「押しつけるのではなく、胸に押し寄せてくる」という作品の数々。 

妥協を許さない、製作者たちの熱い「呼吸音」までもが聞こえてくるほどの気迫と覚悟が感じられる日本の『クズとブスとゲス』。同映画祭初のネパール映画『黒い雌鶏』。過去に『オールド・ドッグ』でグランプリを受賞したペマツェテン監督の最新作『タルロ』。そしてその他、同映画祭人材育成事業「タレンツ・トーキョー」卒業生が関わったという『人質交換』等々、それぞれに語り口が異なる、目を見張るばかりのプログラムが会期中いっぱい上映されていくと発表された。 


(以下、コンペティション部門・全10作品)

『わたしの坊や』カザフスタン/2015/78分//監督:ジャンナ・イサバエヴァ

『白い光の闇』スリランカ/2015/82分/ヴィムクティ・ジャヤスンダラ

『黒い雌鶏』ネパール、フランス、ドイツ/2015/91分/監督:ミン・バハドゥル・バム

『消失点』タイ/2015/100分/監督:ジャッカワーン・ニンタムロン

『人質交換』フィリピン/2015/97分/監督:レムトン・シエガ・ズアソラ

『酔生夢死』台湾/2015/107分/監督:チャン・ツォーチ

『タルロ』中国/2015/123分/監督:ペマツェテン

『ベヒモス』中国/2015/91分/監督:チャオ・リャン

『コインロッカーの女』韓国2015/111分/監督:ハン・ジュニ

『クズとブスとゲス』日本/2015/141分/監督:奥田庸介 


現在世界で何が起こっているのか? 人々は日々どんな想いを胸に生きているのか? 新しい世界との出会い。今いる世界との接近。果たしてカメラは何を映し、我々は、何を見、何を感じることができるのだろうか? 今年もコンペティション部門の全作品を見逃すわけにはいかない、期待に溢れるプログラムだと感じた。 


みんなで行こう!フィルメックス!!度:★★★★★ 
(text:大久保 渉)

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第16回東京フィルメックス
2015年11月21日(土)〜29日(日)まで開催。「映画の未来へ」--いま世界が最も注目する作品をいち早く上映する国際映画祭です。アジアの若手によるコンペ部門、最先端の注目作が並ぶ特別招待作品の上映。特集上映のひとつはフランスのピエール・エテックス。

公式ホームページ

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