2015年10月17日土曜日

第16回東京フィルメックス 特集記事vol.4《ラインナップ記者会見取材》(特集上映作品編) text 井河澤 智子


【特集上映 ホウ・シャオシェン】

台湾ニューウェーブを代表する映画監督として、世界中の映画ファンを魅了するホウ・シャオシェン監督。最新作『黒衣の刺客』はカンヌ映画祭監督賞を受賞しました。ご覧になった方、多いのではないでしょうか?
そんなホウ監督の作品を35ミリプリント英語字幕付きで上映するプロジェクトが、昨年秋から各国を巡回しております。そのプロジェクトが東京フィルメックスにやってきました。
今回上映されるのはこの3本です。

『風櫃(フンクイ)の少年』 台湾/1983/102分
1984年ナント三大陸映画祭最優秀賞受賞。ホウ・シャオシェン監督の名を海外に知らしめた自伝的作品。現在は監督としても活躍しているニウ・ツェンザー主演。

『悲情城市』 台湾/1989/160分
1989年ヴェネチア映画祭において、中華系の監督として初めて金獅子賞を受賞した代表作。トニー・レオン主演。

『戯夢人生』 台湾/1993/142分
1993年カンヌ映画祭審査員賞受賞。日本では長らく上映の機会が途絶えていた幻の傑作。

実は日本ではホウ監督の作品は比較的上映される機会が多いので、上映する作品を選ぶ作業はかなり大変だったということです。が、ということはここで挙げられた3本は、本当に選りすぐり。見逃せません。


【特集上映 ツァイ・ミンリャン】

『郊遊 ピクニック』(2013)で映画製作から引退を宣言したツァイ・ミンリャン監督。と言っても、昨年の東京フィルメックスでは『西遊』が上映され、また今回も特別招待作品として『あの日の午後』が上映されるなど、あの引退宣言は「劇場長編作品」から引退する、ってことか…と、ファンをほっとさせました。東京フィルメックスとの縁も深いツァイ監督の作品が、日本初上映の短編など9本(予定)特集上映されます。
現在決定しているのはこちらの4本。

『ふたつの時、ふたりの時間』 台湾、フランス/2001/116分
台北の時計屋と、パリに旅立つ女との出会い。ツァイ監督が初めて台北以外の都市を舞台に製作した作品。ジャン・ピエール=レオーが出演している。

『無色』 台湾/2012/20分
“行者(Walker)”シリーズの記念すべき第1作。托鉢僧に扮したリー・カンションが超スローモーションで台湾の群衆の中を歩く。

『行者』 香港/2012/27分
“行者(Walker)”シリーズの2作目。香港の様々な街角をリー・カンションが超スローモーションでを歩く。香港映画祭のオムニバス企画『美好 2012』の一編として製作され、その後カンヌ映画祭批評家週間でも上映された。

『無無眠』 台湾、香港/2015/34分
“行者(Walker)”シリーズ最新作。全編東京で撮影された。渋谷駅近くの歩道橋を超スローモーションで歩くシーンに始まり、サウナでの日本人青年との出会いが描かれる。サウナ客として安藤政信が出演。香港映画祭のオムニバス企画『美好 2015』の一編。

9本上映予定、ということは、あと5本は未定…いったいなにが来るのでしょう?あれが来ると嬉しい、これが来ても嬉しい… 筆者、個人的にもとってもわくわくしているのですが、ここでちょっとご注意を。
特集上映 ツァイ・ミンリャンは、開催日程、会場、チケット発売方法が他と異なります。

 会期:11/28(土)~12/4(金)各日2回上映
 会場:有楽町スバル座
 チケット発売方法:前売り券は劇場窓口での取扱のみ
 (有楽町スバル座、有楽町朝日ホール)
 ※ticket boardでの取り扱いはございません。

ちょっと声を大きくしてお伝えいたしました。
 

(写真:左よりプログラム・ディレクターの市山尚三さん、園 子温監督、東京フィルメックスディレクターの林加奈子さん)

東京フィルメックスは毎年毎年新しい発見を与えてくれる映画祭。この季節が来るととってもわくわくします。その年のベストがここで見つかることも。
去年ここで観たあの映画、おととしここで観たあの映画、そのまた前にここで観た…
本当に毎年毎年、驚くほど印象的な映画との出会いがあります。
今年は、どんな映画がここで観られるでしょうか?
来年の今頃は、「去年ここで観た…」なんて、今年のことを話しているかもしれません。

さて、今年の(ほぼ)全ラインナップをご紹介しました。観たい映画は、どれでしょうか?決まりましたか?
え?多すぎて決まらない?

大丈夫。そういう人、いっぱいいますから!

秋の例大祭度:★★★★★
(text、写真:井河澤 智子)


関連レビュー:



第16回東京フィルメックス

2015年11月21日(土)〜29日(日)まで開催。「映画の未来へ」--いま世界が最も注目する作品をいち早く上映する国際映画祭です。アジアの若手によるコンペ部門、最先端の注目作が並ぶ特別招待作品の上映。特集上映のひとつはフランスのピエール・エテックス。

公式ホームページ
http://filmex.net/2015/

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