2015年9月24日木曜日

PFFアワード2015 Hプログラム 〜映画『みんな蒸してやる』textくりた

「唯一無二のワンダーランド」


「みんな蒸してやる」。タイトルからして個性のきらめきが半端ない。

主人公はシュウマイ販売店でアルバイトをしている女の子で、彼女が惚れている男は他の女にフラれたばかりで傷心らしい。通常の映画であればここで「チャーンス!」となりそうなものであるが、そうは問屋がおろさない。
「俺はカカシになる」とだけ残し、彼は(近所の)田んぼへと旅立っていった。

それからというもの、主人公はシュウマイを売りつつ店舗から田んぼへと足繁く通い、また甲斐甲斐しくカカシとなった彼の世話を焼くのである。

これは適当なストーリーをでっち上げているわけでも、気が動転しているからでも、恐らく私の読解力が0だからでもない。

そういう話です。

それにしても不思議なもので、主人公の女の子がどうにも「おかずクラブ(女性芸人コンビ)」のオカリナちゃんに見えてくるのである。激似、という訳ではなく、そこはかとなくそう思えてくる(実際はオカリナちゃんより随分可愛いとは思う)。最後の方ではもう、カカシにストーカーをかけるオカリナちゃんがスクリーンを縦横無尽に駆けずり回っているようにも見えてきてしまうのだ。



それはオフビートと言っていいものか、アヴァンギャルドと評していいものか、はたまた実験的だと言い切っていいものなのか?
これは見るものを惑わせ、一切の言葉も合致する様子を見せない「みんな蒸してやる・ワンダーランド」なのだ。

このレビューを読んで下さった方は「一体何を言っているのか?」とお思いだろう。
しかしこれは観なければ分からない。観ないことには話が通じないのである。
そんな唯一無二の存在感を放つ『みんな蒸してやる』。このワンダーランドを是非とも体感して頂きたい。

ワンダーラン度 :★★★★☆
 (text:くりた


『みんな蒸してやる』

作品解説
「かかしになりたいおとこは夢中 おんなはおとこを今更さよならふりむかせたい わたしが結婚しても いつもの時間に きみがラジオきくなら、」

出演
大河原 恵、須藤瑞己、大渕礼奈、森川しゅう、鶴巻 紬、南久松真奈、星野慶太、松嵜翔平

スタッフ
監督・脚本・編集:大河原 恵
撮影:原 悠介
録音:広田智大
照明:吉永良芽生
制作:目黒律啓

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ぴあフィルムフェスティバル(PFF)
"映画の新しい才能の発見と育成"をテーマに、1977年にスタートした映画祭。いままでに数々の監督を排出している。現在では、公募した作品から入選作品を選出する映画コンペティション「PFFアワード」を中心に、特集上映や、トークショーなどのイベントも行われている。また、PFFアワードでグランプリ等の賞を受賞した監督はPFFスカラシップの権利を獲得でき、劇場用映画監督デビューへの道が開かれる。

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